2023年1月17日に開始された大学入学共通テストの「歴史総合」「世界史探究」では、漫画『ベルサイユのばら』(通称「ベルばら」)の一部が引用され、当時のジェンダーや家父長制を考察する問題が出題された。物語の主人公オスカルが「貴族の娘でありながら男性として育てられた」という設定を基に、フランス革命期の女性の地位を問い、設問では関連する出来事の年代順も問われた。また、日本史の問題でも、北条政子や日野富子といった女性政治家に焦点を当て、女性の政治参加や儒教的な家父長制思想の伝播に関する内容が出題。SNSでは受験生が「ベルばらが得点に繋がった」等の反応を投稿し、注目を集めている。

教育現場でジェンダー視点を取り入れた内容を出題する方向性自体は意義深いが、その手法には疑問が残る。まず、ポップカルチャーを試験に採用したことで興味を引く狙いがあったとはいえ、勉学を真面目に進めてきた受験生に偏った有利・不利を与えた可能性が否定できない。
また、ジェンダー史や家父長制を広く考察するテーマでありながら、出題が特定作品や狭い事例に依存しているため、課題に対する深い議論を奨励するには限界がある。
この問題の本質は、公平な試験の要件を満たしているかという点にある。一部の生徒にとって有利・不利が生じる試験内容は、平等な学びの理念に反する。また、ジェンダー視点の導入は歓迎すべき行動だが、個別事例に偏りすぎるアプローチでは、意図せず学問としての客観性を損なうリスクが高い。
改善案として、まず採点基準が明確で、事前知識の偏りを極力排除した問題作成を徹底すべきだ。また、多様な史実や事例を取り入れ、包括的な視点を提供する問題設計が必要である。さらには、事前に用いられる資料や文献のリストを生徒に公開し、公平な準備機会を設けることが重要である。
教育は本来、公正さと普遍性を軸に進められるべきであり、その上で初めて個別的テーマを深く掘り下げられる。制度設計そのものに不備があれば、どんな意義深いテーマもその価値を失いかねない。学問の本質に立ち返り、適正な試験運用を目指すべきだ。
ネットからのコメント
1、「ベルサイユのばら」は、私の愛読書であった。池田理代子さんも自分の漫画が、共通テストに採用されて感慨深いものがあったのではないか?オスカルは、最後に生まれた女児で父親の将軍から男性として育てられた。アンドレが剣の練習相手であった。おそらく、今でもフランス革命を語る時、ベルサイユのばらは良い資料として使われる。息子が、高校生の時、「これ、今日世界史の先生にもらった」と持ってきたものはベルサイユのばらのバスチーユ攻撃の場面の漫画だった。世界史の先生が、「フランス革命だけは女子の点数がいいんだよな」と苦笑いしていたのを思い出す。
2、中学の時の社会の先生はわざわざベルばらを織り交ぜてプリントを作ってくれてたなぁ。漫画で読むなんちゃらみたいのは分かりやすいし覚えやすくて勉強になったよ。
3、いまやフランス人すらフランス革命を「ベルばら」で憶えるという時代ですよ。あくまでフィクションの歴史漫画ですが、面白くなければ興味すらわかない。古代エジプトを描いた「王家の紋章」は連載50周年でプリンセスで連載再開されていた。
来日中のイタリアのメローニ首相は北斗の拳の作者からプレゼントされ大喜び。日本の漫画も世界的になったものです。
4、35年前高校生だったけど、その頃から「大学受験のため」に多くの高校に「ベルサイユのばら」と「あさきゆめみし」「ブッダ」が置いてあったけどね。漫画を利用した出題はなかっただろうが、大学受験用の基礎知識として読んでおけ、知っておけ、というレベルの資料(史料)だったのは、昔から変わってないと思う。因みに、医学部を受ける学生のために「ブラックジャック」を揃えている高校は1970年代からあったそう。コメント欄にこんなに驚く大人がいることに、驚いてる。学生時代、図書館で「自分の思う勉強」をするだけで、書架を見ることがなかった人がこんなにいるってことだよね。図書館は自分の物差しでは出会わない本と出会うための空間でもあるんだが。
引用元:https://news.yahoo.co.jp/articles/57c2ac7da3ad1254bbd0bb7495226d6416ea39bb,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]