日本人類学会は10月15日に、過去の研究者によるアイヌ民族の遺骨収集とその扱いが、アイヌ民族に対し不適切であったとして公式に謝罪声明を発表しました。アイヌ民族の遺骨は明治期以降、研究資料として大量に収集され、一部は盗掘同然に墓から持ち去られ、尊厳が軽視されていました。国内には1700体以上の遺骨が保持されており、1980年代から子孫がその返還を求めています。
多くの遺骨は現在、国のガイドラインに従って返還が進められています。さらに、日本考古学協会も謝罪し、日本文化人類学会を含む三学会がヘイトスピーチ反対の声明を発表しました。

この問題は、制度的な欠陥から生じた不当な行為に焦点を当てる必要がある。アイヌ民族の遺骨収集と扱いは、長い間軽視されてきた非常に深刻な問題です。まず、学術的な研究と倫理のバランスを欠いたこれまでの真摯な反省が求められます。研究の名の下で行われた行為がいかに尊厳を軽んじていたかへの自覚が必要です。制度的な改善案として、まずはアイヌ民族の意見を反映する形での研究ガイドラインの見直しが必要です。第二に、返還プロセスの透明性と迅速化が求められます。第三に、過去の誤りを適切に報告することで、誤解に基づく差別を是正する取り組みが必要です。
文化の多様性を尊重し、過去の誤りを未来への教訓として社会に還元することが重要です。これらの対策を講じることで、ようやく真の和解と理解への道が開かれるでしょう。
ネットからのコメント
1、ヒトを対象とする研究に倫理が求められるようになったのはごく最近です。学会の中で、上の人が業績として収集してきたのであれば、若手の研究者は手出しできません。結果、若手だった人が年長になっても過去の行為や判断の矛盾を抱えてしまって手出しできないということが起きます。負のサイクルです。昨今、コンプライアンスを含め研究倫理が強く叫ばれるようになり、今回の判断に至ったのだと推察します。賢明な判断です。研究として成果を出すことはもちろん必要ですが、十分な事前説明の上で応諾をもらわなければなりません。煩瑣ですが、やはり大事な手続きだと思います。
2、自分がされたら嫌だな。先祖さんが掘り起こされるってなんか…。また自分が掘り起こされるって考えてもな。だから、きちんとした目的説明や手順やその後など、誠意ある姿勢での研究が人として大切な気がした。
3、縄文時代から現代に至るまでの日本人DNAの歩みを研究するうえで、アイヌ遺骨はかけがえのない研究材料になります。しかし遺骨なら何でも良いのではなくて、採取された場所、埋葬された時期を推定するのに適した副葬品など、科学的な副次データがあってこそ科学的な議論ができます。現代の科学水準から見れば、明治時代の遺骨採取など単なる盗掘に過ぎません。そうした間違った研究態度に対して不満を持つアイヌの方々に謝罪することは当然でしょう。
4、誰のため、何のための研究なのかしっかり考えるときですね。それができるのに戦後80年もかかったのには驚きですが。研究は国や民族のためではなく、人類すべてのために行われるべきでしょう。
引用元:https://news.yahoo.co.jp/articles/0b8c4f6d569d227c245f818cdce074f491d139cd,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]