法科大学院制度の失敗は、司法試験における予備試験ルートの台頭を象徴しています。文部科学省が2025年12月12日に公開した資料によると、今年の司法試験合格者のうち、予備試験ルートからの合格者は428人で、その中には高校在学中の合格者が1人、大学在学中の合格者が2人含まれていました。法科大学院は、元々、司法試験予備校依存を減少させる目的で設置されましたが、合格率の低さと学校の減少が続き、現在は予備試験ルートが主流となっています。
この流れは、法科大学院の制度設計とその存在意義が見直しを迫られていることを示しています。
法科大学院制度の欠陥がようやく顕在化しているのは明らかです。学生に重い経済的負担を強いる一方で、合格への確実性も提供できない制度が続いているため、予備試験ルートが優れているとされる状況は異常と言えるでしょう。この失敗の理由には、高額な学費や法科大学院の過剰設立が考えられます。これを改善するためには、法科大学院の入学者定員を適正化すること、奨学金制度の拡充、実践的な法教育の改革が必要です。最終的に、社会が求めるのは、利用しやすさと効果的な教育制度であり、それに向けた改革が必須です。法科大学院がこの目標を果たせないのであれば、存在意義そのものを再考すべき時期に来ています。
ネットからのコメント
1、「多様な人材を」と掲げて始めた法科大学院制度、実際は経済的・時間的余裕のある層にしか門戸を開いていない。今の司法試験制度は、根本から間違っている。社会人や主婦が自分のペースで勉強し、実力一本で合格できた「公平さ」は完全に失われた。
救済策であるはずの予備試験も、「一般教養」という不合理な壁で機能不全に陥っている。法科大学院卒は完全任意にすればいい。「誰でも受けられる旧試験」に直ちに戻すことが本当の意味での「多様な人材の確保」につながる唯一の道だと思う。
2、旧司法試験組ですが、受験指導をしていると、法科大学院は文科省の管轄、司法試験は法務省の管轄で、出題、採点はほとんどが裁判官、検察官、弁護士などの実務家が行っており、そのずれは並ではないものがあると感じています。皆さんご承知おきのとおり、受験は技術であることもあり、過去問から遡ってアウトプットできる情報を効率的になるべく短時間で取得する必要があり(生半可な情報は時間が経つと忘れていきます。)、法科大学院の学者出身指導者の授業は必ずしも司法試験の合格には役にたっていないようです。数年前に中央大法科大学院の指導をされていた宗像元検事長がおっしゃっていましたが、中央大では、指導方針を決めるにあたっても、学者と実務家との対立が激しく、統一的な方針が立てられないのが今ひとつ成果が上がらない理由だと分析されてもいます。
法科大学院は失敗というか重大な改革が必要ですが、上記対立から簡単ではないようです。
3、無法学部の長崎県だと隣の佐賀県にも法学部のある大学はなく、福岡市への通学はほぼ不可能です。(法科大学院も九州には現在2校のみ)余裕のある家庭であれば大学から法科大学院までの5~6年アパートを借りて司法試験勉強の環境ができるとは思いますが、予備試験制度ができたおかげで誰でも受験資格を得ることができるので選択肢が広がることは悪いことだとは思いません。一方で法科大学院が首都圏と関西都市部に集中しているのは不公平だとも思います。
4、>予備試験ルートが主流化し、高校生の合格者が出たことは、裏を返せば、法科大学院制度が失敗に終わった、とも言えます主流のルートがあるからと言って、別のルートを作ったことが失敗だったとは、必ずしも言えないと思いますけど。予備試験ルートで(特に高校生が)合格するのは、それはそれでまた大変な努力や才能その他が必要なんだろうとも思いますし。複数のルートがあることはむしろ健全なのでは。
引用元:https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/476ffd7baba778ba4a7027b4d3d4f459c4974f24,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]