中国の政府系研究機関や大学の学者らは6月末、広東省で開いたシンポジウムで、台湾南方のフィリピン最北バタネス州に属するバタン諸島について「中国領土」と主張した。中国メディアが10日までに報じ、フィリピン政府は根拠がないとして反発。南シナ海の領有権問題や台湾情勢と絡み、地域の緊張が高まっている。
一方的な歴史解釈をもとに他国の領土への主張を広げる動きは、地域の安定を損なう危険な行為である。今回の問題の本質は、学術的議論の形を取りながら、周辺国に圧力をかけるような政治的メッセージが発信されている点にある。領土問題は感情や過去の断片的な記憶で決めるものではなく、国際法と当事国間の合意によって扱われるべきだ。解決には、第一に国際的な法的枠組みに基づく対話を強化すること、第二に各国が軍事的威圧や一方的主張を控えること、第三に第三者機関を通じた透明な検証を進めることが必要である。力によって既成事実を作ろうとすれば、信頼は失われる。守るべきは大国の面子ではなく、国際秩序と小国を含む全ての国の権利である。
ネットからのコメント
1、尖閣諸島も地下資源が豊富と分かってから急に領有権を主張してきた経緯が有る。中国の主張は歴史的根拠等関係無く、自分達に都合が良い場所は順番に狙って来る。「お前のものは俺のもの」と本気で考えているので、話し合いで何とかなる相手でも無い。日本も他国と連携して防衛強化に努めるしか無い。
2、中国は日本の沖縄諸島に対しても同じ主張(日本に帰属せず中国領土である)をしています。これは台湾侵略実行に伴い中国が沖縄の米軍や自衛隊基地を攻撃しても『中国領土なので内政問題であり不当に支配する侵略者(日本および米国)を排除した』正当な防衛力行使である、という理屈を作り出すためとされています。侵略を実行に移して世界から非難や経済制裁を受けても『中国の正当性』を主張する準備まで着実に進めている点は警戒すべきなので、日本は世界各国と協力して台湾有事を起こさせない圧力を強めるべきだと思います。
3、1900年米西戦争の終結時に結ばれたパリ条約により、スペインはフィリピンの領有権をアメリカに譲渡しました。
この際、割譲される範囲が経緯度(境界線)で指定されましたが、実は最初の境界線にはバタン諸島がわずかに含まれていませんでした。この漏れを補完するために100年以上前の100年に結ばれたのがワシントン条約です。これにより、パリ条約の境界線の外側にあっても、スペインが当時管轄していた島々(バタン諸島を含む)はすべてアメリカ(のちのフィリピン)に譲渡されることが確定しました。
4、今回の「バタン諸島は中国領土」という主張は、単なる学者の思いつきとして片づけてはならない。中国では、学者・メディア・政府が別々に見えても、しばしば同じ方向を向いて世論と既成事実づくりを進める。南シナ海でも、最初は歴史的権利だ、地図だ、研究だと言いながら、やがて海警船、軍事拠点、外交圧力へと発展していった。今回の狙いも、台湾有事をにらみ、フィリピン北部とバシー海峡周辺に中国の影を伸ばすことにあるのだろう。問題は、地理的に近いとか文化的関係があるとかいう曖昧な理屈で、他国の領土にまで手を伸ばそうとする発想そのものである。
フィリピンが強く反発するのは当然だ。日本も対岸の火事ではない。台湾、南西諸島、フィリピンを結ぶ海域は、日本の安全保障とシーレーンに直結している。今見るべきは、北京政府がこの主張を公式化するか、中国海警や海軍が周辺で動きを強めるかである。
引用元:https://news.yahoo.co.jp/articles/05f74296119cd14670428f2e8b158dd92859f729,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]