本稿では、豊臣秀吉による「中国大返し」とその事績を再評価する。天正10年（1582年）の本能寺の変後、秀吉は11日で明智光秀を討ち、天下統一の鍵を握った。秀吉が水攻めで高松城を落とし、毛利氏との和解を進める中で光秀討伐を決断。一般的には、一昼夜で70キロを進軍したとされるが、最新研究によれば実際には3日間を要し、行程や軍備を誇張した可能性が高い。

秀吉は中国地方で整備した補給基地「御座所」と情報網を利用し、素早く京へ帰還。これにより、去就を迷う織田家武将を引きつけた。結局、秀吉の迅速な行動が、光秀を孤立させる結果となった。

報道により、豊臣秀吉の「英雄像」に疑問を抱くかもしれませんが、これは歴史の進化でもあります。新たな研究は英雄視ではなく、実行力と判断力を持つ一人のリーダー像を浮かび上がらせます。重要なのは、秀吉の才能がその時代の戦争技術や外交努力と結びついていた事実です。同時に、彼がどのようにそれを巧みに操ったかを考えれば、大胆かつ緻密な計画性が浮かび上がります。複数の要素が絡む戦争や戦略については、個人の力量だけでなく、当時の背景や状況も理解する必要があるでしょう。古来の「英雄譚」は時間の試練に耐えることができず、新しい解釈が真実に光を当てると感じます。

それが歴史研究の醍醐味であり、新しい世代へ教訓として引き継ぐ価値があるのです。

ネットからのコメント

1、「近年の研究成果に基づくと、3キロメートルにも及ぶ長大な堤防を築かずとも、その10分の1の300メートルもあれば、地形上、容易に城を水没させることが可能であったことが明らかにされている」というのがもし史実であるなら、むしろたった300ｍの堤防で敵城の急所を見抜いて陥落させたわけだからそっちの方がすごくないですか？そこまで土木建築技術が発達していなかった時代だから、地形的急所を見抜けず、3km前後の長大な堤防による物量頼りの力攻めをせざるを得なかった、という方がまだしも納得できる気がしますけど、むしろ秀吉の株を上げてますよねその評価。本能寺の変を毛利が知ったのも秀吉とほんのわずかのタイムラグですし、中国大返しはいろんなところで神がかり的と形容するに十分な奇跡の連続だと思いますけどね史実を知るほど。

2、光秀が細川藤高に送った手紙には、50日から100日の間に畿内を制圧するつもりだと書かれている。現実的にはかなり甘い見通しだ。

50日もあれば大返しなどせずとも、秀吉は普通に帰還してくるし、北陸の柴田だってやってくる。もし毛利に秀吉を足止めするか追撃を期待するなら、事前に毛利に使者を送って依頼するはずだ。それをしてないという事は本当に突発的に、下手すると即日で決断したという事になる。一か八かの博打のつもりはあったかもしれないが、こんな楽観的な想定だったからこそ事に及んだのかもしれない。

3、明智が秀吉に最大級歴史に残る大英雄としての、地位をプレゼントしたと言えるな、後から考えると明智様様だよな、でも秀吉も運と実力と才能を兼ねていたけど運が一番デカイよな明智がなぜ信長暗殺したのか？汚名だけが残るし、その後天下取れたと考える方がおかしい、方面軍司令官の明智がそんな事も予想出来ないとは思えない、そう考えると、秀吉がタイミング良くその時期に３万の兵力、毛利の攻勢がなく、おお返しで明智に勝利するなんて神懸かっている、才能、実力は認めるが、この後天下をとったのは、農民出身を考えると、すべてにおいて運が勝っているとしか考えられない状況

4、そもそも大返しが無理だとする説は事実の誤解とその後利益を得た秀吉に対する疑惑から生じた思い込みだったという事ですね。秀吉自身が大返しに言及していないのですから、「神話」ですらありません。漫画「へうげもの」はもろに秀吉黒幕説で書いていますね。光秀は秀吉にそそのかされて信長を討ちにいった哀れな犠牲者(かつ人格者)、家康は明智に賛同し豊臣の悪を憎む(やや自己本位な)正義の人として描かれていました。知らない人だとこういう歴史観がしっくりくるのかも知れません。光秀自身が立派な人物だったかどうかは疑わしいと思いますが、光秀は信長を暴君と見ており、自分が成敗すれば賛同者が集まると思っていた可能性はあるかも知れません。しかし実際には誰も集まらず敗れました。結局信長は意外に家臣の支持を得ていたとも言えるし、そもそも主君を討つ下剋上がそう簡単に正当視されなかった事の証左でもあると思われます。