百貨店業界は若者世代の「百貨店離れ」を食い止めるため、アニメやゲーム関連グッズのショップを積極的に展開しています。大阪高島屋では人気ゲーム「にゃんこ大戦争」の関連グッズショップを期間限定で開設し、顧客層の拡大を図っています。こうした店舗は訪日外国人客の増加も後押ししており、若者やゲーマー、アニメファンをターゲットにしています。

全国の百貨店売上高はピークの1991年には9兆7130億円を記録しましたが、近年は6兆円を下回る状況が続いています。このため、百貨店側は日本のコンテンツ産業に注目し、国内外のファンを取り込むことで集客力を強化しています。ただし、百貨店のブランドイメージへの影響を懸念する声もあります。

百貨店がアニメやゲームの力を借りて若者や訪日客を引きつけようとする動きは、現代社会のトレンドを敏感に捉えた戦略であると言えます。しかし、文化を発信する場として百貨店が持つ伝統的なブランドイメージにとって、この変革は一長一短の可能性があります。例えば、利用されるスペースが限られるため、迅速かつ効果的な誘致と協力体制の構築が必要です。まず、地域の文化資産を活かし、伝統と新興文化を調和させる場づくりを推進することが挙げられます。

また、来店客の購買行動をデータ化し、個々のニーズに適応する柔軟なコンテンツ戦略を展開すべきです。さらに、百貨店の専任スタッフを育成し、訪れる顧客の体験を向上させるサービスを提供することも重要です。百貨店は単なる商品販売の場以上の価値を提供し、社会の文化発信拠点としての役割を再確認する必要があります。

ネットからのコメント

1、これでいいと思う。まずは来てもらうことが大切だし、時代に合わせてメインの商品を変えられることこそ百貨店の強みだ。バブルの頃はブランド物だったのが令和になってアニメなどの推し活グッズに変わっただけ、お目当てで来てもらった後に化粧品やアパレルも一緒に見てもらえる工夫が出来れば大成功だと思う。

2、百貨店にポケモンセンターが入るようになった頃から、催事コーナーでも期間限定の展覧会や限定ショップが定期的に賑わうようになった印象です。百貨店もそうですが美術館、博物館もアニメやゲームキャラクター関連の展覧会が増え、会場限定のコラボグッズも豊富で、つい何か買ってしまうんですよね。米のディズニーなどもありますが、日本には昔からかわいいキャラクターがたくさんなので、これからも大いに活用、活躍させてほしいと思います。

3、隔世の感があります。先日、心斎橋大丸併設のPARCOに行きましたが、一階メインエントランス付近は従来通りのブランドショップが立ち並ぶ中、５階に上がるとホビーショップがズラリ。いわゆるオタク向けとも言えるラインナップで、客単価はそれほどでもないかもしれませんが、集客力が圧倒的でした。今後どのように変容していくのか分かりませんが、新鮮な面白さがありました。

4、百貨店がアニメや漫画、ゲームを本格的に取り込む流れは、とても理にかなっていると感じます。私自身いくつかの作品を嗜みますが、今のアニメは単なる娯楽ではなく、日本が世界に誇る文化の一つとして確立されています。海外からの評価も高く、作品の世界観や物語性に惹かれて日本に関心を持つ人も少なくありません。そうした文化を「子ども向け」「オタク向け」と矮小化せず、百貨店という格式ある空間で丁寧に扱うことには大きな意味があると思います。伝統とポップカルチャーが交差することで、新しい価値や客層が生まれる。百貨店再生の一つの有効な形ではないでしょうか。