今年度、日本の最低賃金は過去最大の63円引き上げられ、全国平均は1055円から1118円に上昇、全都道府県で1000円超となる。物価高の中で賃金上昇は歓迎される一方、中小企業には経営圧迫の懸念が広がる。政府は2020年代に平均1500円を目標に掲げ、今後5年間で年7.3%の上昇が必要だが、日本商工会議所調査では地方・小規模企業の4分の1が対応困難と回答、2割は休廃業検討。
全国には22.8万社の“ゾンビ企業”が存在。支援制度はあるが申請負担や経営者の数字への弱さが課題とされる。
最低賃金引き上げは労働者保護のための重要な施策だが、現行の速度と方法は明らかに制度設計の欠陥を孕んでいる。物価高の下で企業体力の乏しい中小が急激な負担を強いられれば、雇用喪失と地域経済の衰退を招く危険がある。政府が目指す1500円の数値目標も、成長戦略や価格転嫁環境整備が伴わなければ、単なる数字の暴走に過ぎない。本質的な問題は、賃金引き上げと生産性向上を同時に支える産業構造改革の遅れだ。解決策として、①中小企業向けの価格転嫁強制力強化と取引適正化、②申請負担を軽減した自動給付型支援制度の導入、③経営者の財務リテラシー向上を義務化した教育・研修制度を挙げたい。働く人を守るはずの政策が、経営の息の根を止めては本末転倒だ。
賃金の数字を競うのではなく、持続的に払える経済の地盤を築くことこそ、社会の健全さを示す指標である。
ネットからのコメント
1、家族経営の中小企業に勤めたことがありますが、休日日数が年88日しかなく、その割には仕事量が少ない。頑張った姿勢を見せることのできる人だけ評価され、効率よく仕事をして定時までに仕事を終える人をサボっているとみなされる。仕事のやり方を変えれば作業時間が削減できるのに、それを採用すると別の仕事が増えてしまうので、効率化には消極的。この会社で人件費が上がったら、さらに経営は厳しくなるだろうなあ、と思いました。
2、まあ、賃金は上がるに越した事はありません。しかし、最低賃金をどこまで上げるのが適切で、どこまで企業が潰れても大丈夫なのか、誰もハッキリ示せておらず、よくわからないというのが実情でもあると感じますね。そういう点を無視して言えば、最低賃金1500円であっても、フルタイム(月160時間×12か月=年1920時間の計算)で働いたとしても僅か年収300万円弱ですので、決して高給とは言えないと思いますね。
3、中小企業に支援しすぎですよ。支援して潰れるべき企業が生き残って成長するべき企業が成長出来なければ意味ないどころか悪影響を及ぼします。退場しなければならなくなるかもと思えば経営者も真剣に企業経営を考えるでしょうし、ダメなら諦める事も重要です。
4、スクラップがあるからビルドが出来る。淘汰されるから、新しい起業が出来る。形を変えてイノベーションするのが吉。最低賃金で中小企業が潰れれば、そこを利用している大企業は新たな有望な企業を探すし、どうしても欲しい物ならば高く売る事も出来る。或いはその中小企業で買っている商品が無くなれば、新たなもっと良い商品を開発する中小企業が出て来る。
それが健全な成長であり、ビジネスチャンスだ。ただし日本型の古い商慣習や企業統治は改める必要があるだろう。役所を含めて硬直化しているから、革新的な事が出来ない。そして革新的な事をして隆盛すると、それを潰そうとする。自分達の天下り先の問題が出て来るから。これは政治家も同じ。
引用元:https://news.yahoo.co.jp/articles/79aa33f8232df07b175f71f097a9cabeb3900a8d,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]