日本銀行が発表した7~9月期の資金循環統計によれば、2023年9月末の時点で日本の個人金融資産は過去最高の2286兆円に達しました。この残高は前年同月と比較すると4.9%増加しており、11四半期連続での増加傾向を示しています。この成長は主に円安による外貨建て資産の評価額の増加と、株価の上昇に起因しています。具体的には、株式等の資産が前年同月より19.
3%増の317兆円に達し、新しい少額投資非課税制度(NISA)による資金流入が影響して投資信託が21.1%増加の153兆円となりました。また、外貨建て保険商品が評価額を膨らませて2.0%増の416兆円、現金・預金も0.5%の微増で1122兆円に達しています。

個人の金融資産が過去最高を記録したことは一見喜ばしいニュースのように思えますが、その背後には日本経済の構造的問題が潜んでいます。円安が資産価値を押し上げる一方で、実質的な購買力の低下を招き、特に輸入品の価格上昇による生活コストの増加が懸念されています。NISAによる資金流入は貯蓄から投資へのシフトを促していますが、これが実経済の成長にどれほど寄与しているかは不透明です。まず、円安に対する政策的対応を強化し、国民の生活水準を維持するための措置が必要です。
次に、金融教育を促進し、資産運用の選択を増やすことで経済成長への寄与を高めます。そして、資産運用の成果が社会全体に広がるよう、投資利益の一部を地域社会の発展に活用する制度を構築することが重要です。国が目指すべきは、単なる資産の膨張ではなく、国民が安心して未来を描ける経済環境の構築です。
ネットからのコメント
1、個人金融資産が過去最高という数字だけを切り取っても、国民の生活実感は説明できません。増加の主因は株高や為替要因による評価額の膨張で、家計の可処分所得が急に増えたわけではない。一方で、現金・預金はほぼ横ばいで、物価高の圧迫を受けている層も多い。重要なのは「誰の資産が、なぜ増えたのか」という内訳の分析であり、数字を並べて安心感や不安感を誘導する報道姿勢こそ慎重であるべきです。資産効果と実体経済、分配の歪みを分けて論じなければ、国民理解にはつながりません。
2、この記事ですごいなと思ったのは、2200兆円のうち未だに半分が現預金だってことだよ今年は随分株価が上がったけど、そうでなくともここ数年くらいのスパンではずっと上がってるわけでねそれにも関わらず現金で寝かせて「インフレが厳しいです!」と言われても、まあそうでしょうな、という感想しか出てこないのだが元本維持を最優先して投資しないのも個人の自由だけど、投資で適切なリスクを取る選択肢を持っておくことも大事ではなかろうかと思った次第
3、個人が保有する金融資産の残高は2286兆円もあるとの事である。内訳は分からないが高齢者がタンス預金等の資産もかなりあると想像できる。少子高齢化に伴い医療費の保険料は現役世代の負担が増加していて世代間の不公平感があり改正が必要である。医療費負担は75歳以上の後期高齢者等は条件設定は必要であるが1割負担から2〜3割負担程度に上げる。生活保護者からもいらない医療費抑止のために1割負担位にして真面目に働く現役世代労働者の社会保険料を下げて欲しい。
4、記事最後の1122兆円が預貯金という事実が衝撃的でした。コロナ禍後から現在にかけて日経平均やS&P500は2〜3倍に上がっていますので、この期間に手堅くインデックス投資していれば資産の額面は少なくとも倍増しているはず。一方で日本円の価値は下がり続けているので、資産を預貯金で保有していた場合と投資していた場合とでの資産価値を比べると3倍以上になります。現金を保有することもリスクのある投資のひとつだと認識しておいた方が良いと思います。
引用元:https://news.yahoo.co.jp/articles/dab8aa915648dd5180bd40cd5fa82f4627b18a99,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]