【事件概要】
2025年8月4日、厚生労働省は2025年度の最低賃金の目安を全国平均で63円引き上げ、1118円とする方針を発表した。これは引き上げ額・率ともに過去最大で、物価高騰に対応した形だ。一方で、中小企業の約半数が労務費を価格に転嫁できておらず、経営悪化の懸念がある。
また、「年収の壁」によるパートの働き控えや、最低賃金格差による地方から都市部への人口流出も指摘されている。ただし、中小企業の利益も過去最高を更新しており、最賃引き上げは企業の生産性向上を促す契機とも考えられている。
【コメント】
最低賃金の大幅引き上げは、長年据え置かれてきた日本の「低賃金依存経済」にようやくメスを入れる一手だ。しかし、この当然の是正措置すら「中小企業が苦しむ」「地方が衰退する」といった懸念ばかりが強調されるのは異常だ。
問題の核心は、最低賃金のせいで企業が潰れるのではなく、賃金に見合った価値を提供できないまま、低賃金を前提に延命してきた構造的な弱さにある。全国の中小企業の半数以上は価格転嫁すらできない一方で、過去最高の利益を出している企業もある。これは、生産性と構造改革の格差が企業間で極端に開いている証左だ。
解決策として、①価格転嫁を促す法整備と下請け取引の是正、②中小企業への設備投資支援・IT導入補助の強化、③「全国一律最低賃金」の段階的導入による地域間格差の是正が必要だ。
人件費を「コスト」としか捉えず、労働者の生活向上を犠牲にしてきた時代はもう終わりにすべきだ。安価な労働力に依存する経済では、未来は切り拓けない。
ネットからのコメント
1、最低賃金の引き上げは賛成だが、果たして全ての企業がそれについて来れるのであろうかが疑問だ。30年前から日本の平均賃金は上がって無い現実を今更底上げしても企業がついて来れなければ意味がないし、下手するとそれにより倒産する企業も出てくるかも知れない。過去1990年代では、日本の賃金は世界でも高い方だったが、それから30年以上停止したままで今に至っている。石破総理は、2030年までに最低賃金を1500円にすると言っているが、政府が賃金を上げるのではなく、上げるのは企業であり、ついて来れる企業がどれくらいあるだろうか?
2、私もごく小さな会社の経営者だが、最低賃金の引き上げは反対しない。
ただ、ここ何年か毎年50円程度上がっており、流石についていくのがしんどいな、というのも本音としてあります。持続的に上がる環境づくりが大切であって、これほど急進的な賃上げを続けるなら、企業としての雇い控え、労働者も扶養内を意識しての働き控え、と、労使ともに消極的になってしまう。地域で金額に差をつけているが、業種などでも多少でも差があればやりやすいのですが。
3、物価高の今最低賃金が上がることは賛成。でも106万の壁も一緒に改革してくれないと意味がない。最低賃金が上がると共に比例して物価も上がると結局国民は苦しい状態が続く。最低賃金が上がって、企業側も人件費に持っていかれたら、いろんなものを値上げしてそこをカバーするしかない。それでは今までと変わらない。やっぱり日本は税金が引かれすぎて結局手取りが少なすぎるのが問題。何に使われているのかわからない税金も多すぎるのでそこの改革もセットで早急にやって欲しい。
4、これは解雇規制緩和とセットじゃないと何の意味も無いよ。生産性の向上は今まで三人でやってた仕事を設備投資等で一人で出来るようにして、余った二人分の人件費を残った一人の給与に回したり更なる投資に回す事なんだよ。
解雇出来ない状態で賃金だけ上げると損益分岐点だけが上昇していく事になるから企業はサービスや商品を値上げしていくしかない、結果として賃金が上がると同時にモノやサービスの値段も同じように上がるので実質賃金は上がらずインフレだけが続いていく事になる。
引用元:https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/548c16e2c57a94a41f005b91824422a2e7199277,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]