2026年度の日本の当初予算案が12月26日に閣議決定され、歳出額は過去最大の122兆3092億円に達しました。前年から7兆円以上膨らみ、主な原因は社会保障費の増加と物価高対策です。また、新規国債発行額も前年度から9369億円増加し、5年ぶりの増加となりました。片山さつき財務相は公債依存度が0.7ポイント低下したことを指摘し、経済規模に合った予算であると主張しました。

高市早苗首相は「責任ある積極財政」を掲げ、財政規律と強い経済を両立させようとしていますが、野党からは防衛費増額などに対する批判が高まっています。

この予算案にはいくつかの懸念が浮上しています。まず第一に、過去最大の122兆円に膨らんだ歳出は、持続可能性と財政規律の観点から問題です。社会保障費や物価高対策の名の下、新規国債発行額が29兆5840億円まで増加し、5年ぶりの増加です。しかし、それが本当に国民生活を改善する仕組みになっているかは疑問です。公債依存度が多少低下しても、根本的な財政構造改善には至っていないと見受けられます。

問題の本質は、経済規模との乖離した歳出増が示す制度の欠陥です。特に、防衛関連費の過去最大化は、政府の戦略的な財政出動が安易な大盤振る舞いになっている可能性があります。

また、国民の負担が増える一方で、具体的な社会改善策がないことも問題です。

解決策としては、まず歳出の透明性を高めるべく、詳細な財政評価を第三者機関が行う必要があります。次に、国民参加型の政策決定プロセスを導入し、現実に即した予算配分を推進すべきです。さらに、社会保障や防衛費についての長期的なインパクト評価を行い、その成果を国民に示すことで、信頼性を高めることが求められます。

この予算案が示すのは、過去最大の数値に裏打ちされた政治の動向と、国民が直面する課題の対比です。予算が国民の負担や安心につながるのか、それとも単なる数字の膨張に終わるのかは、未来への問いかけです。

ネットからのコメント

1、「責任ある積極財政」というが実態は国債の発行。長期的には借金が増えるだけなので、経済成長の収入増と支出減しないと国民生活はますます苦しくなる。台湾有事発言で東アジアの緊張関係を悪化させての防衛費増額も、高市首相のマッチポンプになっている。所得税の増税が明言されたが、それで国民生活が破綻しては元も子もない。まずは緊張緩和のために外交努力を尽くすべきではないか。

2、GDP比債務残高はコロナ以降減り続けており、高市政権が何かしたからこうなった訳ではない。要するに円安インフレが進むに伴い、GDPが自動的に増えて分母が大きくなった分小さく見えるようになった。またインフレに伴い法人税と消費税が自動的に増えた。その代償となっているのはインフレ課税、すなわち実質賃金も実質金利も実質年金給付も全てマイナスである事により、国内の実質購買力の総和が減り続けているのだ。名目GDPは増えているが、実質GDPはほぼ横這い、実質個人消費は減っており、穴を埋めているのは政府支出だこの状況では、実質購買力のマイナス分を減税なり給付なりで補わないと家計の疲弊は止め処がない。ガソリン暫定税の廃止や６５００億の壁引き上げ程度では全く追い付かない

3、「責任のある積極財政」の違和感は、「責任のない積極財政」が与党には認められず、内閣なら「積極財政」でも「責任」はついて回るから。高市氏の政策は「積極財政」だが、財源担保のないものに見えるので、私は危惧する。円安を止め、適正レ－トにすることが大事だと思っている。

このままなら、適正レートが150円台で160円まで行くのは止めてくれ。

4、こうした問題は、もはや専門家でなくとも多くの国民が直感的に理解していることです。しかし政府はそれと正面から向き合うことを避け、「責任ある積極財政」という耳触りのいい言葉の裏で、実態の伴わない巨額予算を正当化しているにすぎません。物価高と円安で生活が追い詰められているにもかかわらず、社会保障や実質賃金への有効な対策は後回しにされ、防衛や安全保障を過度に強調することで国民の不満や視線を逸らそうとしているように見えます。本来守るべきは国民の生活と将来であり、危機を煽ることではありません。さらに問題なのは、こうした姿勢を無批判に支持する一部の人々が、結果として自分たち自身の生活や安全を危うくしている点です。対話と冷静な議論を放棄し、恐怖や対立を利用する政治こそが、最も無責任ではないでしょうか。