2025年12月、日本は南鳥島沖約6000mの深海にあるレアアース泥の技術的実証試験を計画しています。この場所は、中国産より純度が20倍高いとされる資源を含んでおり、経済安全保障上重要とされています。しかし、実証試験はあくまで基礎的な工学的確認に過ぎず、商業採掘には多くの技術的かつコスト的課題があります。回収泥の安定性や精製技術の向上が求められ、商業化までには2035年以降と見られています。
短期的な解決策ではなく、長期的選択肢としての意義が強調されています。

この状況に対して感じることは、南鳥島のレアアースを巡る議論には、多くの誤解や過度な期待が伴っています。中国産の20倍という数値は強調されがちですが、それが実際の採掘可能性や経済的採算性を十分に示しているわけではありません。政府や政治家が、単なる希望を現実として語ることなく、具体的な技術的課題を直視し、誠実に国民に説明する責任があります。まずは採掘が実現するかという以前に、どのようなステップを踏むべきかを明確にすることが必要です。
レアアース開発が進むためには、まず実証試験の成功が最初の重要な一歩となります。その後には、安定した回収と精製の技術を確立し、コストを削減し、持続可能なシステムを構築することが求められます。さらに、国際ルールや他国との戦略的提携を通じて資源の価値を最大化することも重要です。
この過程では、政治や社会が夢物語に傾倒せず、現実的で実行可能な対策を講じることが不可欠です。資源の価値は、実用化されて初めて生まれるものであり、そのための地道な努力が今後の鍵となります。
ネットからのコメント
1、おそらく地球規模では貴重な資源が埋蔵されている地層はたくさんあるのだろう。しかし、貴重な資源が埋蔵されていることと人がそれを活用できることは全く別の問題だ。深海など採掘が非常に困難な地層に資源が眠っていても人はそれを活用できない。採掘をするには設備や機材を安定的に運用でき、容易に採掘できる自然条件が重なっている場合に限られる。そこにあるから希望が持てるのは事実としても、宇宙開発などと同じように希望的観測を多分に含む願望であることを認識しなければならない。少なくとも現時点で商業ベースに乗っている中国のレアアースに対抗できるとはとても考えられない。
2、例えば、日本にも資源はある。ガスは千葉の某所から湧いていたりする。しかし例えば、東京都の銀座に大鉱山が見つかったとする。そんな地価が高い場所で鉱山を操業して、儲けられると思うだろうか?それと同じで、水中6000mといった場所から採掘し続けるコスト。
これを考えると、とてもじゃないが商用には乗せられない。レアアースは、昔は中国以外からも沢山産出していた。しかしコストと環境負荷により、中国が環境無視で低コストで採掘するようになる一方、他国は環境保護と高コストで撤退した。結局、金と環境の問題を解決しないと、商用ラインに乗せられない。
3、この記事を読んで2030年には実現可能と言われた宇宙エレベーターを思い出しました。理系京大院卒生が基礎研究により理論的に可能だという事を証明したけど応用研究が追いついてこない宇宙エレベーターは黒部ダムを7年、東海道新幹線を5年で建設したのよりも実現可能性は圧倒的に高いけど、夢を失った日本企業からの賛同を得られず資金が調達出来ないのが現状です。レアアース商業化は国家プロジェクトとして絶対に必要な事業だと思います。オールジャパンの産学官連携でチャレンジして欲しいです。とは言っても産学の優秀な技術者の多くは日本人ではなく中韓の研究者だったりするんですが…
4、真面目な話、海底油田で現在採掘出来ているのはメキシコ湾の2500m。
それでも2010年に事故をおこして海洋汚染が広まった。波の荒い太平洋のど真ん中で採掘出来るかと言われたらかなり難しいだろう。レアメタルではないが日本の炭鉱後に残っている天然ガスの一種、コールヘッドメタンや地球温暖化の影響や人口減で森林面積が増えている希有な日本の森林資源を利用してセルロースナノファイバーの開発を進める方がはるかに可能性があると思う。
引用元:https://news.yahoo.co.jp/articles/0990f4a22c11b234193a19011bb71c46dc692569,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]