科学技術立国と称される日本において、2025年は大阪大学の坂口志文さんと京都大学の北川進さんがノーベル賞をダブル受賞するという輝かしい成果を収めました。しかしその背景には、日本の科学研究力が危機的状況にあるという現実があります。若手研究者は雑務に追われ、研究に割ける時間が減少。さらに、任期付きポストでの不安定な雇用状況、そして給与面での不満が重くのしかかります。
この結果、新しい技術の開発が困難になり、科学界から世界の一線を退いてしまう恐れが指摘されています。技術職員の育成や環境整備が不可欠であり、日本の将来の科学技術力の維持には若手研究者が夢を持てるような環境作りが求められています。

研究者たちの厳しい現実を浮き彫りにする今回の状況は、まさに日本が「科学大国ニッポン」の称号を失いかねない事態です。若手研究者が雑務に忙殺され、本来の研究に時間を充てられない現状は、明らかな制度の欠陥を示しています。これには研究者の雇用が不安定な任期付きポストが多いこと、研究費の不足、そして技術職員の育成の遅れが問題の根源にある。本質的には、日本全体の研究環境が予算や制度面での支援が乏しいことが背景にあります。この深刻な問題に対しては、まず恒久的な研究者雇用制度の導入、効率的な資金配分で研究費を増やすこと、そして技術職員の育成と確保を強化することが必要です。
これらの取り組みが進めば、日本は再び科学技術の未来を切り拓くことができるでしょう。研究者たちが安心して挑戦し続けられる環境なければ、世界をリードする革新的な技術は生まれません。我々はこの現状を直視し、具体的な行動を取る時が来ています。
ネットからのコメント
1、いつも思うのだが、大学の教員は自身の研究だけでなく、学生の授業や指導にも携わっている。また、試験問題を作ったり、採点したり、評価もしたり。まあ、助手もいるから、実際どのように処理をしているのかは分からないが...。それでも、やはり大学は研究機関であってほしい。 そのためには、大学教員は、学生の指導に当たる教員と研究に専念する教員に分けてはどうか。もちろん、そうすると大学教員はもっと増やさなければならない。小中高校でも、多忙な状況を解消するために、教員を増やしてほしいという意見が多い。しかし、そのためには予算を確保しなければならない。大学も同様であろう。「末は博士か大臣か」と、優秀な子どもには言われたものである。大臣はいい思いをしているみたいではあるが、どうも博士号はどこの大学でも乱発されているから、価値は下がりまくっている。
教育や研究には更なる予算をかけるべきだ。
2、競争的資金は準備に時間を取られ、数年間で結果が求められるため、落ち着いた長期的な研究には不向きです研究者にも生活や家族がありますから、記事にあるように運営費交付金を増やして、安定的な立場を与えるのも重要かと思います
3、博士課程在学の学生が進路としてアカデミアを選ばない理由を聞くと、ほとんどの学生が「先生を見てると、競争が激しいのに、競争に勝っても雑務で忙殺されてるから」という悲しいコメントが。雑務が多い理由として、大学予算が削られてスリム化という名目で事務が縮小し、その分を教員でカバーしているから。教員は教育と研究、事務仕事は事務と分けられたら、パフォーマンスは上がるはず。研究に没頭出来る環境にいる大学教員は絶滅危惧種です。
4、今日本の国立大学は研究時間がないとか、研究費が足りないとかそういうレベルではないところまで追い込まれている。どんなに研究成果を出しても、教育に力を入れても大学の収入は固定された授業料と運営費交付金だけである。競争的資金である科研費、外部資金である共同研究費は長期雇用や施設整備に使うことができない。
現在、寮や学生食堂、グラウンドやテニスコートなどの学生の福利厚生や課外活動に使用できる国の予算はない。運営費交付金の概算要求だって、全学的な組織改革が必要なので予算をもらうたびに組織を変更しなければならない。ここまでやっても基盤的経費や施設整備費は年々減る一方で、人事院勧告のたびに財政破綻に怯えなければならず、老朽化した施設を切り捨てる決断もしなければならなくなっている。この記事に登場している先生は偉くても大学の経営陣ではないので、大学がもっと深刻なことになっていることに気がついていない。
引用元:https://news.yahoo.co.jp/articles/9d9318c6c92c4e4ce9d9f05670c6398cf7b921ea,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]