政府は2026年度当初予算案で診療報酬を全体で2.22%増加させるプラス改定を行った。「本体」部分は3.09%増加し、「薬価」は0.87%減少。茨城県内の医療機関においては、物価や人件費高騰を踏まえた評価と支援の前進として歓迎される一方、赤字経営の継続や人材確保の厳しさから不足感が強く表明された。県内3病院は15億円の赤字を計上し、関係者は総合的な財政支援や大幅な診療報酬引き上げの必要性を政府に訴えている。
現状、診療報酬改定は一部の評価を得ているものの、医療現場が直面する厳しい課題への対応としては不十分であり、制度改善への強い期待が示されている。
診療報酬プラス改定による茨城県内の医療現場への支援は、部分的な前進を象徴するものです。しかし、この改定では赤字続きの医療機関の危機的状況や、物価上昇と人件費高騰に完全に対応しきれていません。この現状は、診療報酬計算が経済的変化や医療現場の厳しさを十分に反映していない制度の欠陥を物語っています。医療DX推進や人材確保が現実的に困難な状況において、以下のような改善案が求められます。
診療報酬改定の頻度を2年から1年に変更し、物価変動に俊敏に対応する仕組みづくり。医療補助金や税制優遇措置の枠拡大と透明な運用。国レベルで医療人材確保に向けた包括的な政策を即時導入。医療は国民生活を支える基盤であり、物価と人件費の現実的上昇を軽視した制度が招く結果は公共の安全を脅かします。このプラス改定は改善の一歩であると同時に、不足感による不安を示す警鐘であり、政府には根本的な改革が迫られています。
医療そのものを守ることが全ての社会制度の基盤であるべきです。この矛盾を解消する真剣な取り組みが、現場と国民の信頼を回復する鍵と言えるでしょう。
ネットからのコメント
1、病院の赤字の背景の一つに「消費税制度の不公平さ」があります。診療報酬は「非課税扱い」であり、病院は収入に消費税を上乗せできません。しかし、薬剤や医療機器、建物の修繕などの「仕入れ」には消費税が課されており、還付を受けられないため病院の負担となります。結果として、規模の大きな病院ほど支払う消費税額が多く、経営が圧迫されやすいのです。一方、輸出企業は「ゼロ税率」が適用され、支払った消費税を還付してもらえます。この仕組みの違いが、日本の病院経営を苦しめています。社会保障費抑制のために診療報酬や薬価を抑える政策も重なり、現行制度のままでは皆保険制度の持続性が危ぶまれます。病院経営を健全化し、制度を守るためには、診療報酬へのゼロ税率適用など、消費税還付制度の見直しが必要です。もしくは診療報酬に消費税をかけることも検討するべきです。
2、医療の赤字の原因は、先ず前提として日本では米国どころか西欧と比較して外来単価が1/4~1/3、手術単価が1/4~同等と低く設定されている。
また国民1人当たりの受診回数が世界1~2位と多い、病床数が多い、時間外救急体制や検査機器が充実しているといった特徴もあり、日本の医療サービスは他国よりもかなり恵まれているという現実を知らない人が多い。日本の医療は西欧の半分程度の診療単価しか貰わずに、欧米人の富裕層しか受けられないレベルの医療サービスを誰にでも提供している。善く言えばコスパがとても良いが、悪く言えば出血大サービスし過ぎ。西欧レベルの診療単価を払ってもらえるか、代金に見合った医療しか提供しなくてもよいのであれば、そもそもこれほどの赤字に陥ってない。日本の医療に無駄遣いが一切無いとは言わないが、日本以上にコスパが良い医療を提供している国は無いという現実についても知っておいて欲しい。
3、診療報酬改定毎にされた点数評価は診療報酬点数表の平均であって、実際によく行われる医療行為、薬価は上昇されるどころか下げられたものも多い。上昇させたと言っても加算評価基準を厳しくして実際には診療報酬を得る事が難しくしている。世の中の工賃や物価が上がっているのに、手術や薬代、検査費用、入院基本料が値下げされるとは狂っているとしか思えない。
その上、患者からは消費税をもらえない。国は消費税分を上乗せしていると言うが全く不十分である。赤字になる基幹病院が続出するのも当たり前ではと思う。
4、来年の改定だけで黒字化される病院やクリニックは増えないでしょう。今の医療機関の多くはこれ以上受け入れできないくらいの患者数なのでこれ以上数は増えない。売上額UP利益額UPは診療報酬を大幅に上げないと経営改善は無理。給与を増やすだけの点数をつけても経営が大幅に黒字化される環境にならないと賃上げは無理です。診療所で正社員の給与が都心部外で最低でも手取り24万円、看護師で28万円、経営者の医師で最低2000万円くらいになるような診療報酬は必要。
引用元:https://news.yahoo.co.jp/articles/5f8b52f94dff53a08dfa335aeee25ce7b2f14d26,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]