2025年7月3日に90歳を迎えた映画字幕翻訳家・戸田奈津子氏は、これまで1500作以上の洋画字幕を手掛け、ハリウッドスターの通訳なども務めてきた。津田塾大学卒業後、約20年の下積みを経て1976年にF・コッポラ監督との出会いをきっかけに「地獄の黙示録」の字幕を担当。現在も現役で活動し、AI時代の映画字幕について自身の考えを語った。

AI翻訳が急速に進化する中で、人間が積み重ねてきた感性や文化的価値まで「効率」の一言で置き換えようとする風潮には疑問が残る。映画字幕は単なる言語変換ではなく、限られた文字数の中で俳優の感情、作品の空気、日本語独自の表現力を届ける高度な創造作業である。問題の本質は、技術の発展そのものではなく、人間の経験や感性を軽視する社会の姿勢にある。今後は、①AIを補助ツールとして活用し人間の判断を生かす仕組みを整える、②翻訳や文化分野の専門人材を育成する、③作品ごとの表現価値を評価する環境を守ることが必要だ。
便利さだけを追求すれば、私たちは数字では測れない文化の豊かさを失う。技術は人間を超えるためではなく、人間の創造力を支えるためにあるべきだ。
ネットからのコメント
1、アメリカに長年住んでいました。私は直接お会いしていませんが、直接戸田氏と話した知り合いの話では、彼女は映画字幕の翻訳はするが会話は苦手だと仰っていたとか。しかし直接多くの俳優達と話をされているので謙遜なのでしょう。映画の翻訳の難しさはその場面での英語表現をそのまま和訳しても適切な日本語の表現にならないという事だと思います。全く違った翻訳がその場面や状況を最大限に生かすという事が多々あります。それが映画翻訳家の腕の見せどころなのでしょうね。
2、長年第一線で活躍してこられた戸田奈津子さんにも長い間の下積み時代があったのですね。自分が戸田さんのお名前を初めて知ったのは、フランシス・コッポラ監督の「地獄の黙示録」を観たときでした。あの圧倒されるような映画の内容ととも、戸田さんの字幕にもぐっと引き込まれたのを今でもよく覚えています。トム・クルーズさんとの仲良しなやり取りもいつも微笑ましく拝見させていただいています。
AIには絶対真似できない人間の感情に寄り添った字幕を、これからも楽しみにしています。いつまでもお元気でいてほしいです。
3、どちらかというと、まずAIにすべて訳させ、ちょっと英語ができる脚本家とかが、ちょこちょこ修正するだけでよくなるかもしれないと思ってる。名訳がでるかはわからないけど、それは人間でも一緒で、翻訳家だからと名訳がでるとは限らない。英語に限らずAIを否定する人は、『AIは間違える』というが、学者みたいな人でも捏造することはあるし、間違えることもある。要は、チェックをしっかりすれば圧倒的にAIアシスト下で仕事する方が効率は良いと思う。一応、補足しておきますが、戸田さんをはじめとした翻訳家の方の英語字幕は好きです。戸田さんなどの英語字幕に否定はしません。
4、戸田さんには残念ながら、いずれAIは人間の機微をも捉える翻訳を成し遂げると思います。特に翻訳は賞味期限付きと言われるほど、訳される側の国内流行に沿った言葉遣いが求められますが、その点こそ常時情報更新を続けるAIの独壇場となるでしょう。
もちろんそんなAIの進歩には、戸田さんをはじめとする数多の偉人先人の軌跡が大きく貢献するわけですから、ある意味ではAIこそが戸田イズムの継承者となり得るのかもしれません。
引用元:https://news.yahoo.co.jp/articles/1b40f837239cf73c957c71a6fcd5877f7fcbe631,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]