2025年4月17日、最高裁第一小法廷は、市営バス運転手による運賃着服に対する懲戒免職と退職手当全額不支給の市の処分を適法と判断しました。事件は、運転手が勤務中に乗客から受け取った1000円札を着服したことが発端です。市はドライブレコーダーで着服を確認後、運転手を懲戒免職処分、退職金約1211万円を不支給としました。運転手はこれに対し、処分の撤回を求め一連の裁判を提起しました。
地裁は市の裁量権を支持しましたが、高裁は運転手の長期勤続を斟酌し、処分の重さを批判しました。しかし最高裁は、着服行為が公務の信頼を損ない重大であるとし、高裁判決を覆しました。

この判決は、公務員の厳格な服務基準を示すもので、特に信頼性維持が重視されています。着服金額は小さく実際には弁済されていますが、公務員による公金着服の重みは大きいとされる一方で、裁判所が行政判断の範囲を逸脱したと認識しなければ違法性が問われないとの視点が強調されています。今後は、労働者の利益よりも業務の信頼性が裁判所で重視される傾向があるかもしれません。
この事件は公務員の職務倫理と信頼性について改めて問い直すものです。最も重視されるべきは社会の公正な運営と信頼性であるべきで、個々の労働者の権利も尊重されなければならない。
着服の責任を果たした上で、勤務態度改善や違反行為の防止策を導入することも有効です。行政や司法は公務員の職務遂行においての信頼醸成を怠ってはならず、社会全体の倫理感を支える姿勢が重要です。適切な人材育成と勤務環境の改善こそが、社会の健全な発展につながります。今後、行政が職務規範を見直すきっかけとなるべきです。
ネットからのコメント
1、のような判決が正解なら、これまでの公務員による不祥事等の処分が釣り合わない。例えば、警察官が飲酒運転で検挙された場合は懲戒免職ではなくほとんどが停職からの依願退職で退職金は減額されても多少は支払われている。様々な所でこのような不祥事は多いけど、それに見合った処罰が公平性がないのが問題。裁判官等が不祥事を起こして退官したら弁護士を転身しているとか、抜け道があるけど、この方の場合はバス運転手の職は他の所でも二種免許があれば再就職も出来るけど、世の中だと懲戒免職者の再就職は厳しい。それなら、例えば教職員が不祥事や犯罪を犯した場合、退職しても教員免許は残る。このように再起は出来るけど、性犯罪者が又教壇に立てるなんて理不尽が通る世の中の制度自体が問題。
それを最高裁の判決は矛盾した判決だと思う。
2、もちろん悪い事なんだけど、なんでこんなもんだけ過剰とも言える罰の厳しさなんだろうな。それに対して性犯罪や危険運転(飲酒運転含む)、詐欺や傷害などの罪が軽すぎないか?同程度に量刑が比例すると考えれば、とんでもない罰金や禁固刑にならなければ釣り合わないはずだが、そうはなっていない。ある一定ラインまでは罪状が重いほど加害者の人権(?)が過剰に護られている現状を何とかすべき。
3、市営バスの運転手として、民間バスの運転手に比べ雇用の安定性や高給、職業への信用などのメリットを享受してきたわけで、デメリットもあって然るべし。もっとも一般企業で増えつつある確定拠出年金制度なら仮に懲戒解雇でも退職金を貰えたことを考えると、勤務先の導入した制度による有利不利があるのは気の毒ではあるが。
4、着服は単に被害金額だけでなく、信頼にも関わる問題です。たとえ被害金額が1000円であろうと、もしこれを許してしまえば今後も「1000円くらいなら良いだろう」と同様の行為が多発する可能性もあり、それは結果的に顧客(乗客)からの信頼を更に損ねることなります。
それを防ぐ意味でもこの件は妥当な処分だと思います。
引用元:https://news.yahoo.co.jp/articles/70e0ecf014f0b4891b509075b16b71f74721d5bd,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]