米バーボンウイスキー「ジムビーム」は2026年1月から1年間、主力工場である南部ケンタッキー州の蒸留所での生産を一部停止することが決定された。背景には、トランプ政権が実施した高関税政策への対抗措置としての輸出低迷と在庫の増加がある。この蒸留所ではジムビーム全体の約3分の1が生産されているが、州内の他の二つの蒸留所は稼働を続け、従業員削減は発表されていない。

ケンタッキー州のウイスキー在庫は過去最多の1610万たるにも達しており、カナダでの米国産ウイスキーの販売禁止や不買運動も影響。米国産ウイスキーの輸出は前年同期比で約9％減少している。

このニュースはジムビームのような老舗ブランドが、政治的要因によって厳しい経済環境に直面している事態を示しています。関税政策による影響が企業に与える深刻さは、否定できません。まず、貿易における過度な関税競争は長期的にはどの国にも利益をもたらさない現実を理解すべきです。このような政策の見直しが求められます。

一方、企業としては、海外市場の多様化を図ることが必要です。輸出先を増やし、特定の国に依存しない体制を構築すれば、政治的リスクを分散できます。また、国内市場の強化や新製品の開発による新規顧客の獲得も重要です。

現実は厳しいが、老舗ブランドが持続可能な発展を目指すためには、柔軟で戦略的なアプローチが求められるのです。経済的背景に振り回されない企業の成長戦略の確立こそが、未来を切り拓く鍵となるでしょう。

ネットからのコメント

1、主要市場であるカナダへの輸出制限、ヨーロッパは対抗関税、そして世界的な脱ハードリカー。日本市場が好調とはいえ、限度はあるしね。ポジティブに考えれば、より長期熟成できる樽が増えるということ。頑張って、サントリー。

2、これは以前に日本企業が買収していたものなので、「お気の毒に」という話だが、これからトランプ関税の影響で、傾いてくるアメリカ企業がいくつも出てくるかもしれないですね。その時に「80兆円の投資の約束をしただろ」と、日本がその尻拭いをさせられないか心配です。

3、短絡的な高関税が、結局は自国の雇用や産業を傷つける――その典型例に見えます。報復関税や不買運動は「強さ」を演出する政治には都合が良いのでしょうが、現場では在庫が積み上がり、歴史ある蒸留所が生産停止に追い込まれる。数字よりも重い現実です。

200年以上続くジムビームですら、この影響を免れないという事実は、グローバル経済において一国主義がいかに脆いかを示しています。関税は交渉カードにはなっても、乱発すれば自国産業へのブーメランになる。政治的パフォーマンスの裏で、現場が静かに代償を払っていることを忘れてはいけないと思います。

4、以前はコストコによく行ってアメリカのものを買う機会もありましたが、折からの円安で割安感がなくなったのと、トランプ関税に嫌気がさして足が遠のき、アメリカのものは殆ど買わなくなりました。買い続けているのは定期購入している普段使いの日用品数点くらいです。こんな時だからこそ、国産のウィスキーを買うのもいいですよね。サントリーは災難ですが、何とか耐えて欲しいです。