高齢者の終末期医療と救急蘇生措置に関する新方針について、全国の消防本部が「本人意思による蘇生中止」を可能とするケースが増加していることが26日、日本臨床救急医学会の調査で判明しました。調査によると、全国720消防本部のうち570が回答し、241本部(回答率の約42%)がその方針を文書化済みでした。この取り組みでは、「人生の最終段階」を迎えた患者の書面や家族の証言をもとに、心臓マッサージなどの蘇生措置中止を許可。さらに170本部では、中止にはかかりつけ医のオンライン指示を必要とする条件を設けています。この方針を文書化した本部数は、16年以前には39でしたが、17年以降は急増して200本部に達しています。

近年の終末期医療の現場では、より多くの消防本部が患者の意思を尊重しようとしている一方で、運用上の課題が浮き彫りになっています。
患者の意思を尊重する取り組みは評価できる点ですが、現状には制度的な欠陥が存在します。
まず、救急隊員による蘇生中止が広がる一方で、本人の意思を確認するための書面や家族証言の信憑性が明確化されていないことが問題です。この手続きの不透明さが不適切な中止を引き起こすリスクをもたらします。次に、オンライン指示を求める本部の増加は、かかりつけ医が常に対応可能であるとは限らない現状への配慮が不足しています。さらに、救急現場における「本人の意思」の迅速な確認システムがまだ統一されていない点が制度の抜け穴となります。
具体的な解決策として、1つ目は国全体で「統一された意思確認のガイドライン」を制定し、救急隊員が迅速かつ正確に対応できる仕組みを整備することです。2つ目は、患者の終末期の医療指示書(リビングウィル)の普及を推進し、すべての関連者が明確な指針を共有できるようにすること。3つ目は、オンライン指示が不可能な状況への対応として、救急現場で共同判断可能な訓練の拡大です。
終末期の意思を尊重することは重要です。
しかし、それを適切に実現するには個人の生命が軽視されるような運用上の欠陥を排除する必要があります。個人の尊厳を守りながら、救急医療にも万全を期す社会を目指すべきではないでしょうか。制度の改善は、私たちの価値観と生命倫理を鮮やかに反映する可能性を秘めています。
ネットからのコメント
1、良い流れです。施設入所中・100歳で、すでにDNAR確認済の方が搬送されることさえあります。意識がないとはいえ、元気に帰れる可能性が皆無の方に対して骨をバキバキ折るような処置は我々も絶対にしたくはありません。ACP(いわゆる人生会議)は必須です。縁起でもないなどと言える時間は実はないんです。意思表示を必須とすることを早期に義務付けていただきたい。
2、DNARを理解してない施設職員が反射的に通報したり、同じく動揺した家族が通報したり…通報されてしまうと、消防側も搬送しないで問題になるより、医療行為を行って医療機関に連れて行った方がいい、となってしまう。搬送しない方向になりつつあるが、書類が揃ってない、掛かり付け医師の指示文書が無い、家族で意思が統一されてないなど、まだまだハードルが高い。
3、救急隊の方々にとって、「目の前の命を救わない」という選択を文書化するのは、どれほど苦渋の決断だったかと思います。 でも、延命を望まないという本人の強い意思や、見守るご家族の想いを最優先にすることも、一つの尊厳の守り方なのかもしれません。現場で迷い、葛藤する隊員の方々が法的に守られ、最期の時間の過ごし方がより穏やかなものになるよう、社会全体で考えていきたい課題であります。
4、救急は「命を救う」のが原則。でも、人生の最終段階では「延ばすこと」より「尊重すること」が大事な場合もある。今回の方針は、その葛藤を制度として整理しようという動きに見える。現場の救急隊にとっては、家族の言葉だけで判断するのは大きな負担。かかりつけ医のオンライン指示を必須にする本部が多いのは、その責任を一人に背負わせないための仕組みとも言える。大事なのは、いざという時に慌てないよう、家族と医療者で事前に話し合っておくこと。意思表示は「もしものため」ではなく、残される人のための準備でもあると思う。
引用元:https://news.yahoo.co.jp/articles/68640576bf783f0b061e94f71976887c31e554a7,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]