事件概要:2023年10月27日、政府は日本国内での先端半導体国産化を推進する企業「ラピダス」に対し、1000億円の初出資を行い、筆頭株主として参画することを発表しました。この動きにより、官民による総出資額は2676億円に達しました。加えて、政府は迅速な経営判断を尊重するため、議決権付き株式を11.5%に抑えつつも、経営悪化時に議決権を強化できる仕組みや技術流出対策を盛り込みました。半導体の量産を目指し、2026年度には1500億円の追加出資計画も示されています。これは、AIや自動運転のエコシステム構築に向けた国家的重要プロジェクトと位置づけられています。

コメント:今回のラピダスへの巨額出資は、日本の産業競争力を再構築する上で重要な一歩である一方で、注視すべき問題もある。現在日本が抱える半導体産業の衰退には、競争力の低下や過去の投資判断の失敗が背景にある。
この出資が有効に働くためには、解決すべき課題が山積している。

まず第一に、技術開発を独立して進められる環境整備が不可欠だ。政府出資への過度の依存は、官僚的な制約や柔軟性の欠如に繋がりかねない。次に、長期的な視野を持った技術革新戦略を策定する必要がある。短期的な成果を急ぐあまり、基幹技術の重点開発が疎かになる危険性は避けたい。さらに、民間企業とグローバルサプライチェーンとの連携強化も重要だ。他国と互恵的な関係を築けるか否かが、事業の命運を左右すると言っても過言ではない。
国際競争が熾烈化する中、資金の使途が曖昧で無駄な投資に終われば、大規模な失敗を招くリスクは高い。官民が役割分担を徹底し、国家戦略として明確なビジョンを持つべきである。資源が限られる今、日本は「効率」と「長期的価値」を両立させる方向にかじを切る必要がある。
ネットからのコメント
1、政府が出資する先端産業は、成功例がほとんどないのが実情です。金を出すだけでなく、口も出すし、官庁から人もやってくるからです。しかも出資者の手前、国の政策にある程度合わせた経営方針にならざるを得ません。これでは、神速な意志決定を行なえません。今回のラピダス出資は、この欠点を多少考慮したものになっているようです。しかし決定的に足りないものがあります。それは先端技術を担う研究者であり技術者です。日本は科学技術研究の予算を減らし、大学での研究予算も足りず人材不足です。必然的に能力の高い研究者は外国に向かいます。日本のノーベル賞受賞者が、海外在住者が増えているのはその表れです。また民間技術者も中国などに好待遇で引き抜かれています。日本は企業に投資する前に、教育研究に投資する必要があると考えます。資源の無い日本が生き残るには、人材が最大の財産となるのですから。
2、成功するはずがない。数兆〜数十兆円規模で投資を続けるインテルやサムスン、中国勢ですら苦戦している世界だ。それより遥かに少ない予算で『自分たちだけは勝てる』と考えるのは、自信を通り越して傲慢というほかない。
結局は補助金目当てのプロジェクトであり、経営陣が多額の役員報酬を得ながら、国民の税金を食いつぶしているだけではないか。
3、何か勢いだけで投資しているような気がする。熊本のTSMCは次は3nmの生産がもはや視野に入っている。素材や製造装置がいくら技術力が高くても製造するのとはわけが違う。無用の長物にならない事を切に願う。
4、過去の政府系投資はほとんどの確率で失敗に終わり投資した分はほぼ回収できていない印象があります。今回はどうでしょう。投資に民の部分がかなり多いのがせめてもの救いでしょう。筆頭株主が政府というのが安心のように見えて実は不安要素。海外に負けないための決定のスピードに政府が余計な横やりを入れないと良いのですが。少し前のセミコンでも、TSMCやNVIDIAなどと並んでラピダスは大いに注目されている企業の一つでした。日経エレなどでも多くの開発記事が載っており、GAAなどの新規技術はかなり進んでいるように見えます。ただ、もしこれだけ政府や大手企業が力を入れて失敗したらそれこそもう目にも当てられない。
海外の半導体に頼るしかなく、国内の部品メーカー装置メーカーなどに暗い影を落とすでしょう。そうならないことを望むのみです。
引用元:https://news.yahoo.co.jp/articles/f70ddadd00b2760b57cfa4fd6af90db889032806,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]