97歳のばあちゃんが、他人の犬の💩の前で腰を押さえてしゃがんだ。
その目の前で俺は叫んだ。
「ここ私有地だって言ってるだろ!」
犬をしゃがませた女が振り向く。
「公共道路でしょ?」
開き直りだった。
ばあちゃんは何も言わず、紙で地面を拭いている。
その背中が、女の声よりずっと重かった。
「ここに97歳が住んでるんだよ」
女はため息。
「いつもはさせないです」
俺はスマホを出した。
「4回目だよ」
動画を見せる。
同じ時間帯、同じ場所、同じ犬。
女の顔色が変わる。
「勝手に撮るなよ!」
逆ギレ。
俺は門柱を指した。
「防犯カメラ、許可取って設置してる。全部記録ある」
沈黙。
周りの視線が集まる。
俺は町内会のグループに映像を送った。
すぐ返信が来る。
「掲示板出します」
翌日、回覧板と掲示板に貼られた。
「私有地侵入・未処理は通報対象。防犯カメラ作動中」
それから、その女はこの道を通るとき、必ず小走りで通り過ぎる。
犬は門前に近づかない。
ばあちゃんはいつも通り落ち葉を拾っている。
でも、今日は俺に向かって小さく言った。
「ありがとうね」
その一言で全部報われた。
強いのは怒鳴る人じゃない。
“ここから先はダメだ”って線を引ける人だ。
あの家の前は、今日もきれいだ。
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