【事件概要】
2020年時点で日本にいる留学生約27万9600人のうち、文部科学省の「国費留学生」として奨学金を受けているのは8761人と、全体のわずか3％程度である。国費留学生の枠には「大使館推薦」と「大学推薦」の2種類があり、いずれも事前選抜が必要。

多くの留学生は自ら民間や国際機関の奨学金を申請しており、「外国人留学生ばかりが優遇されている」との見方は誤解に基づいている。日本語の壁を乗り越えるため、大学は英語コースを整備し、教員の負担が増大。留学生は将来的に日本の労働力不足を補う存在として期待されている。

【コメント】
「外国人留学生ばかり優遇されてズルイ」という声が根強いが、その背後には制度への無理解と感情的な不公平感がある。現実には、国費留学生の割合はたったの3％。多くの留学生は自費や厳しい選考を経て奨学金を得ており、「優遇」と呼ぶには根拠が乏しい。
問題の本質は、日本人学生が返済義務のある奨学金に頼らざるを得ないという制度設計の不備にある。

つまり、批判すべきは留学生ではなく、「教育＝借金」という構造を放置してきた国の姿勢だ。
解決策は明確だ。①日本人学生向けの給付型奨学金の大幅拡充、②学費の所得連動型支払い制度の導入、③大学間で透明な財源配分と支援情報の共有を義務化すること。
感情ではなく事実を見よ。不満の矛先を誤れば、本来変えるべき制度は永遠に変わらない。声を上げるなら、正しく狙え。それが社会を動かす第一歩だ。

ネットからのコメント

1、背景はわかりますが、日本に優秀な人材を定着させるためには日本語が話せることは必須でしょう。授業は英語でも、毎年日本語の習熟度はチェックして少なくとも卒業までには日常会話レベルの日本語は使えるようにさせてほしい。仕事は全部英語だからと５年以上日本に住んでいるのに殆ど日本語が話せない方の通訳をしたことがありますが、必要性を感じなきゃ人間はそういうものです。

2、「留学生は少数であり、割合で見れば問題ない」とする議論は、本質をすり替えている。

国民の不満は「たとえ少数でも、外国人に税金を使うな」という感情に根ざしており、「その分を日本人学生に使え」というのが本音だ。加えて「優秀な留学生は日本で活躍する」との主張も根拠希薄で文系特有の感情論だ。それより中国人による技術窃取やスパイ活動が現実に報告されている中では説得力を失う。安全保障上のリスクを無視した「労働力確保」論はあまりに安易だ。

3、過去の外国人留学生が3年以上日本企業に就職した人の統計を出してほしい。6割が就職してほしいという願望ではなく、実際ベースで記事を書いてくれると助かります。仮定として4割以上も自国で就職しているなら、日本の学生の教育を強化すべきではと思いますが。

4、英語が国際基準であると英語コースを作るのではなく、日本語を国際基準に準ずる位置に押し上げるよう努力すべき。海外からわざわざ日本を選んでくる留学生には徹底的に日本語教育を施し、いつか一般の日本人がその人の母国に行っても言葉で困らないようにするくらいの気概で。なぜなら日本語というのは非常に高度で優れた言語だからです。