厚生労働省は、医薬品の年間販売額が3000億円を超える場合、薬価を最大67%引き下げる新ルールを導入する方針を決定しました。これにより、現在の最大50%からの値下げ幅が拡大され、医療費の急激な膨張を防ぐ狙いがあります。このルールは2026年度の薬価制度改革に含まれる予定です。背景には、新薬の価格が製薬会社から提出されたデータや有識者会議の議論を経て決定される現行の仕組みがあり、これまでにも「オプジーボ」などが値下げ対象となってきました。
新ルールでは、特に販売額が製薬会社の予測を大きく上回り、3000億円を超える状況を考慮しています。過去には、新型コロナウイルス治療薬「ゾコーバ」が最大67%の値下げとなる条件付き取り決めがありました。

今回の制度改正は、斬新な新薬が市場に登場する際に、期待と共に課題を投げかけています。膨大な額を超える医薬品価格の抑制策として、新ルールは一見妥当にも思えますが、その根本には我々の医療制度の未整備な側面が浮き彫りになります。医薬品の価格設定が市場の需要と合致していない現行の制度は、製薬会社の利益を優先し、消費者や保険制度への負担を増大させる結果となっています。
第一に、医薬品価格の透明性の向上が不可欠です。開発から市場流通までの各段階での費用詳細を正確に公開することで、公正な価格構成が実現されるべきです。
第二に、有識者会議が真に独立した第三者機関として機能するよう、選定基準と会議の透明性の向上を図るべきです。最後に、薬価改訂の定期的な見直しと、公共の視点を組み合わせた価格設定基準の構築が求められます。このような改革を通じて、我々は個人の健康と公共の財政を守る持続可能な医療制度を築く力を得るのです。高額医薬品とスタンダードな医療の狭間で揺れる現在、私たちは知恵と行動をもってこの状況に挑むべき時です。
ネットからのコメント
1、一般の人には知られていないことだと思いますが、薬価が下げられすぎて、製造コストより販売価格が低くなることがあります。薬価を抑えられすぎて、作っても作っても赤字になる薬は、販売中止になってしまうことがあります。替えが効かない薬も、製薬会社が販売中止にした薬もあり、医療現場は困っています。日本だけ赤字になるので、日本では販売を中止するような薬もあります。少なくとも、製造コストを下回るような薬価にしてはいけないです。
2、薬価下げすぎると利益が出ないから製造中止とか、開発意欲の低下とかになりますよね。
それよりは自己負担の引上げ、多剤併用処方時の自己負担引上げなどをした方が、健康保険組合の負担軽減につながるかと思います。あと、無償世帯の安易な受診や薬の転売、配布抑制の為にも、完全無償は避け、処方された医薬品の転売や他者への配布は違法であることの周知もしたほうがよいかと。私自身毎月数万円医療費を払っているので、薬価が下がるのは有り難く思いますが。20年前から飲んでいる当時の新薬の薬価はジェネリックも出て1/3くらいになりました。治験も含めると開発から承認に10年以上かかるであろう薬があっという間に利益が出なくなるのであれば、創薬は衰退します。新薬が見込めず日本は外国の医薬品の後発医薬品ばかりになりかねません。今回は薬のヒットを出すなと言わんばかり。厚労省は削るべき所を間違えていると思います。
3、ジェネリックの薬価を下げて下げて採算が合わなくて、生産ラインを縮小したから色んな薬が恒常的に足りなくなっている。一時的では無いことに危機感を覚えるべき。また、ヒット薬は最近落ち目な製薬企業が長年の研究を経て、再起をかけて開発するもの。
それの薬価を下げるということは、新薬の開発コストを回収できないと言うこと。厚労省はジェネリック企業だけでは無く、普通の製薬企業も潰す気なんでしょう。医師や薬剤師、看護師を増やしたところで薬が無ければ、患者さんに何もしてあげられないのに。
4、薬剤費の高騰はもちろん問題なんですが、薬価を下げすぎることもまた問題。薬価を下げられすぎて採算が取れなくなった製薬会社は日本市場から撤退しかねない。特に外資は利益にシビアで、既に日本国内での販売を中止した薬剤も複数あります。撤退するだけならまだしも、そもそも新薬を日本国内で販売しない、といった選択をする可能性すらある。先日、OTC類似薬を保険適用外にするか否かといった議論がされていましたが、OTC類似薬はせいぜい1錠数十円程度。むしろ薬価が高い薬(中には1億以上の薬もある)を保険適用外にすべきではないでしょうか。
引用元:https://news.yahoo.co.jp/articles/d24d1197553b58a001845e64c17bb3e767f106ea,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]