政府は、介護職員の賃金を引き上げるために、2026年度において「介護報酬」を2.03%、また障害者向けサービスの「障害福祉サービス等報酬」を1.84%前倒しで増加させる方針を決定した。物価上昇や他業種の賃金上昇を背景に、職員の処遇改善を目的としており、本来3年ごとの改定だったが次回の予定を前倒しする形となった。また、食費高騰への対応も含まれている。

片山財務相と上野厚生労働相は24日に閣僚折衝を行い、診療報酬改定率を含む正式決定に臨む。前回24年度の改定では、介護報酬が1.59%、障害福祉サービス等報酬が1.12%のプラス改定だった。

介護報酬の引き上げは重要だが、2.03%という増加率が、介護現場の実際の課題に見合っているか疑問が残る。現場の職員は、労働環境や賃金の改善を切実に求めている。制度の欠陥としては、報酬改定が3年に1度しか行われず、物価の変動に迅速に対応できないという点が挙げられる。政府は継続的で実質的な賃金見直し、報酬改定の頻度を増やすこと、現場からの声を直接制度に反映するメカニズムの構築を優先すべきだ。常に社会の現実に即した制度でなければ、介護職員のモチベーション低下と人材不足のリスクが増す。介護の現場を本当に支えるには、単なる数値の変更に留まらず、もっと根本的で持続可能な改善が必要だ。

ネットからのコメント

1、私の夫は、総合病院系列の特養で20年以上介護士として働いています。人手不足の中、大変だけど真面目に仕事をしています。一度だけ、あまりにも大変で心身が壊れる寸前だった時、私が辞めることを勧めたが夫はそうはしなかった。馴染みのスタッフや利用者さんが居るのに、簡単には辞められない。スタッフ同士で鼓舞しながら頑張っています。私は、介護の仕事は絶対に出来ない性格だから夫や他のスタッフの方達を尊敬しています。全国の医療介護保育に関わる方たちは、絶対に必要とされるのに扱いが酷いと思います。

2、いつも思うのだが、処遇改善を上げるのではなく正社員の基本給を上げるとかしないと人材の確保は無理パートは処遇改善込みの最低賃金を可としているので、別枠で支給にしない以上無理施設はもう大半が赤字経営になってきているというニュースまで流れてきているのに、施設側にお金を投入しないと運営費にお金を持っていかれるだけなのでは…物価高騰が施設の全ての運営を圧迫してるのもあると思う

3、インフレ率を考えると厳しいですね。

毎年物価連動にするのが理想です。介護や障害福祉、そして医療の価値や必要性というものは、当事者にならないと気付きにくいものなので、多くの健康な人に知ってもらいたいです。

4、3年おきの介護報酬改定で2.03％だとインフレ率にとうてい追いついておらず、ほぼ何もしないのと一緒。ただでさえ過酷な労働環境下で現場スタッフは次々と職を離れているのに現状を理解していない。介護・医療崩壊に向かっている中で政府は有効策も打たずに放置、国民はいざ当事者になったときに頼るサービスも相談する相手もいないことになる。介護・医療関係者に押し付けている「不利益」は何倍にもなって社会に戻ってくる。