王子ホールディングスが退職一時金制度を廃止し、給与に「前払い」する形へと転換した政策は、既存の日本型雇用体系を揺さぶるものであり、特に長期勤務者や老後資金を重視する人々にとっては大きな衝撃を与えました。しかし、この問題を批判的な視点から検討すると、以下の課題が浮かび上がります。

まず、この制度変更は個人の財政管理能力を前提にした「自己責任論」を提唱しているようにも見受けられますが、すべての従業員が投資や資金管理に熟達しているわけではありません。また、地方勤務者や転職が容易でない環境にいる人々にとって、退職一時金の廃止はさらなる不安を招くリスクがあります。さらに、会社内部に資金を積み立てることが「投資効率が悪い」という側面を強調していますが、老後の保証が企業から個人へ一方的に移管されることに対する議論が欠けています。

解決策として、まず政府は個人の資産運用を支援する教育プログラムを提供するべきです。また、企業には給与に上乗せする退職金前払い分の「長期積立」を促すインセンティブを用意し、老後資金の確保を支援する制度を整備する必要があります。さらに、地方や転職市場が成熟していない地域の人々を対象に、国が補助金も含めたセーフティーネットを整えることも求められます。

人生100年時代において、老後の充実と企業の合理性は分離されるべきではありません。資本主義の進化が個々の幸福を犠牲にするのではなく、労使のバランスを再構築する方向性こそが今、強く求められるべきです。

ネットからのコメント
1、退職金廃止を「給与前払いで柔軟性が高まる」と評価する声がありますが、見落とされがちなのは、退職所得控除という大きな減税メリットが失われる=実質的な増税になるという点です。退職金は30年勤務で1500万円が非課税となり、さらに1/2課税という極めて優遇された制度で、社会保険料もかかりません。これを給与に振り替えると、所得税・住民税・社会保険料がすべて課され、長期的な可処分所得は大きく減少します。企業にとっては退職金管理の負担や資金拘束が減り、財務上の効率化につながりますが、その“効率化”の裏側では、従業員が税負担と老後リスクを引き受ける構造が生まれます。結果として、企業がカットした退職金管理コストは従業員がかぶるという、下に負担を押しつける仕組みにほかなりません。
2、退職金控除って大きいからなーなんとも言えんね。
転職が当たり前の時代っていうのは実は企業側からすれば超有難いんだよな。勤続年数そこまでいかない人たちを雇えるから。要らない50代をカットしていける。この終身雇用の有り難さをきっと20年後とか気づくんだろうな。転職で求められる人材になるっていうのはなかなか大変よ
3、社員を大切にしてくれる会社で定年まで一生懸命働いて一時金を貰う働き方ができれば、安定という意味ではありがたいけど、会社側も社員側もそれを保証できるような時代ではなくなった。社会の移り変わりが激しいし、個人の価値観や事情も様々でなので、退職一時金廃止は今後も増えていくと思う。働く側は一生働かないにしても少なくとも雇われている間は仕事を頑張って、雇う側も退職金を廃止するからにはそれに見合う賃金や福利厚生を提供してほしい。
4、今の制度で考えると、一見すると先に退職金相当が給与に上乗せされるのはいいことのように見えるが、税金面では給与所得より退職所得の方がかなり優遇されているし、社保でも退職所得は対象外となるのに対して給与上乗せでは算定基礎に算入されてしまう。
いずれにしても従業員としては手取りが減る結果となる。 やはり、そうなると、企業としても従業員としても退職金のポータビリティー制度が一番理にかなっているのではないかと。
引用元:https://news.yahoo.co.jp/articles/8bbaf7b4ac5bd01448c8685fe2481980bc92edde,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]