文部科学省がデジタル教科書を正式な教科書とする学校教育法改正案を閣議決定した事を受け、10日、有識者会議が議論を開始。デジタル教科書導入に適した学年や教科、健康影響、集中力への影響など10項目の論点が示された。柴田博仁教授はデジタル機能が子どもの集中を妨げる可能性に言及し、紙の教科書を推す意見も目立つ。2030年度から小学校で段階的に導入予定で、「紙」「ハイブリッド」「完全デジタル」の3形態が選択肢となる。

これは教育のあり方を根本から揺るがす改革です。しかし、議論は極めて甘い現状です。まず、デジタル教科書の集中力への影響について、認知科学的視点から具体的データの蓄積と分析が非常に不足しています。曖昧な主張だけが先行し、法改正が進むことは極めて危険です。また、視力低下や健康への影響についても、医学的な長期研究がまだ足りていない点は見過ごせません。
さらに、発展途上地域や経済的に負担能力が低い地域での導入に関する公平性の確保も具体化されておらず、地域格差が拡大する懸念があります。
この問題への解決策としては、第一に、認知科学や医学的知見を活用した教育効果と健康影響の大規模な長期実験を実施することが不可欠です。第二に、紙とデジタルの特性を生かしたハイブリッド型を一律に基本形とし、慎重に進めるというバランス感覚が必要です。第三に、地域格差を最小化するため、各自治体の負担を軽減する国の財政支援制度を早急に設計すべきでしょう。
デジタル教科書の導入は、利便性の裏に潜む深刻なリスクを伴います。それを長期的視点で多角的に評価せず進めることは、教育の質を損ないかねません。進化を求めることは悪くありませんが、教育という基盤は急ぎすぎるべきではないのです。これこそ、慎重な議論の重要性を学ぶべき一例と言えるでしょう。
ネットからのコメント
1、中高の教員の立場からも、デジタル教科書には懐疑的です。使用が終了した後にアーカイブとして残していけるのなら利点ですが(紙資源の節約になる)、そもそも中学生や高校生が端末を開いている状態で、教科書だけを見ているという想定はあまりにも現実を無視しています。
教科書を開いている時間はコンピュータのその他の機能をストップするのでしょうか。現状で、そこまで徹底管理して管理している学校は少ないと思います。とすると、教科書がデジタルであるなら、端末を使用している時間は授業以外のあらゆることができてしまう。現実の子どもというのは、やれることは何でもやるのであって、そのやれることが劇的に拡大していくのが情報端末の特徴です。たくさんの選択肢があれば、教科書なんか開かないで他のことをやるに決まっている。そんな簡単なことも分からないような現実感覚の乏しい人たちが教育行政を左右している。
2、私はタブレットで漫画や小説、雑誌を通勤時や出張時に電車の中で読んでいます。一番思うのが、漫画全巻などタブレットで読める手軽さは最強だと思います。普通は6冊ぐらいしか持っていけませんし。でも、不思議なことに、子供のころは紙の漫画や本を当たり前のように読んでいて今でも覚えているのに、タブレットで読んだものはなぜか頭に入り辛いです。タブレットで単行本の最新刊が発売され、読もうとすると、直近の流れが頭に入っておらず、結局数巻戻って読み直すことが多いです。
おそらく、紙をめくるという行為が記憶に直結しているのかなと思います。私は自分の実体験から、勉強は紙ですべきだと思います。
3、コアの教科書は紙ベース。資料集などはデジタルと使い分けが必須。とにかく現場無視で進行すると、英語教育改革の二の舞を演じる羽目になるのは火を見るより明らか。あんなので3年間学び、高校英語に全く繋がらない。小学校の英語体験はお遊びの枠から抜け出せないし、国際化、国際化に振り回されて、形骸化された教育制度が横行。塾や予備校、出版社にヒアリングして、ひと昔前の中学生、高校生と比べ、どれだけ学力レベルが凋落しているか知ることから始めるべき。デジタル化を闇雲に叫び続けると、そのうち骨抜きにされ、クラゲみたいな国になる。
4、中央教育審議会の中で、公立小学校の校長の影響力がどの程度あるのか分かりませんが、現場の声を届ける唯一の手段かもしれません。低学年だけでなく、小学校段階では紙媒体での学習指導がメインであるべきです。小学校ではまず、読んで書くことが一番大事な時期です。
引用元:https://news.yahoo.co.jp/articles/ce1fbc483cd23707b0bb933e8bb3329197d1d983,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]