生命保険業界における金銭詐取問題が深刻化しています。プルデンシャル生命保険の不正事件では、社員106人が約500人の顧客から総額31億円を詐取し、そのうち23億円が回収不能と判明。同グループのジブラルタ生命保険でも約70件の不正疑いが浮上し、被害額は数億円に及ぶ見込みです。また、ソニー生命でも顧客約100人から12億円が未返済とされ、加えて新たに20〜30件の詐取疑いが確認されました。不正行為の背景には「完全歩合制」に近い報酬体系があり、営業成績のプレッシャーが不正を誘発した可能性が指摘されています。業界内部の管理体制の欠陥が浮き彫りとなり、金融庁の求める「3線管理態勢」の浸透が課題となっています。
これらの事件は、生命保険業界の構造的欠陥と信頼の裏切りを象徴しています。一連の不正は単なる個々の社員の過失として片付けるには規模が大きすぎます。不祥事が相次いだ背景には、完全歩合制に近い報酬体系による収入減への不安や営業競争の過熱という制度上の歪みが深く関与しています。さらに、金融商品を取り扱う立場にある生命保険会社に欠けていたのは、営業現場、管理部門、内部監査の連携を含む「3線管理態勢」。
これが正常に機能していれば、自社の不正を未然に防げただけでなく、顧客から信頼を失うこともなかったでしょう。
問題解決のためには以下の具体的対応が求められます。第一に、現在の報酬体系を抜本的に見直し、成績至上主義からの脱却を図ること。第二に、「再発防止宣言」の実効性を保証する内部監査体制の強化。第三に、金融庁と連携した外部監査を定期的に実施し、業界全体の透明性を確保することです。
生命保険は顧客の未来を守るべき存在であり、社会の信頼を基盤としています。それにも関わらず、人々の信頼を利用し誘導する行為は本質的に生命保険の理念に反しています。業界全体が根源から変革を遂げるべきであり、ここで失われた信頼の代償は、長い未来にわたって業界自身が負う責任となるでしょう。
ネットからのコメント
1、外資にせよ、国内生保にせよ、他の金融機関でも営業職員の不正は常にあります。不正はゼロにはならないのが前提ですが、プルデンシャルの場合は企業体質として、コンプラや良心よりも成果至上主義が蔓延していたのでここまで被害が拡大したのでしょう。
ガバナンス的には第一生命でもあったように、実績が上がっている営業担当者へはチェックが緩みがちです。抑止するにはコンプラチェックする体制を実効性のあるものにしていかなければならないし、そのチェックが営業成績に関わらず公平なものを組織内で維持していかなければいけません。が、経営陣も営業成績を問われているので、自分のいるときに表面化しなければ逃げ切りですよね。そういう点では、経営者の報酬を後払いにして、退任後に発覚した場合にペナルティを与える仕組み等が必要だと思います。
2、完全歩合給制度は生命保険業界だけでなく、様々な業界で取り入れられている。近年は業務委託を採用する企業が増えていて、完全歩合給制度だけが悪いとは一概に言えない。問題なのは一定の営業挙績を達成しないと解雇となる解職基準制度にある。生命保険業界で広く浸透している解職基準制度は他の業界では見られない固有の制度であり、営業社員は解職にならないように契約を取り続けなければならない。たとえ長年在籍している人でも解職基準に抵触すると職を失ってしまう。
彼等は解職にならない為に手段を選ばず契約を取って来る。たとえ不正な手段であろうとも、保険会社は我関せずという態度で受け入れる。ここにコンプライアンス意識の欠如の体質が生まれ、顧客が金銭トラブルに巻き込まれてしまうに至る。恐らく顧客との金銭トラブル業界全体で起こり、多くは隠蔽されて来たであろう。金融庁も解職基準制度にメスを入れていくべきだ。
3、生命保険会社の社員による金銭詐取は以前からある問題で、金融庁のチェックが入ったこともあったと思います。そうした中で、判断力が低下する高齢者に保険を売る際に別の人がヒアリングする仕組みや、疑わしい社員をチェックする仕組みを取り入れる生保もあった気がします。とはいえ、歩合制の生保では、稼ぎが多い営業マンは立場が強いでしょうから、それらの仕組みが形骸化していても不思議では無いと思います。
4、原因は金融庁にあると思っていて、私自身FPやっていますが、保険も投資信託も売るのがすごく面倒になりましたし、特に投資信託に関してはインデックスファンドばっかり売っているので、全く儲からなくなったどころか、経費で赤字を垂れ流している状態です。
問題としては本業で稼ぎにくくなったという事にあるかと思います。売るのに手間ばっかりかかって、全く儲からないとなれば、他(副業)で儲けようとするディスインセンティブになりえます。しかも不正を働いた人間は会社から消え、残った人達に負担がのしかかります。真面目にやっていた人達が不利益を被るような形になっています。色々変な制約は設けずちゃんと本業で儲かるように是正すべきです。そして悪い事をした人だけ罰する様にするべきです。
引用元:https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/dcb97bc6158d6bca1fea8683d2a5d29ccdd0c67d,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]