日本政府は、米国との新関税率に関する合意文書を作成せず、結果的に米国側が15%の関税を一方的に上乗せした問題が浮き彫りになった。米国は8月1日から新たな関税を適用し、これにより日本製品への影響が広がった。日本政府は早期合意を優先し、時間のかかる文書化作業を避けたが、これが裏目に出た形だ。合意文書の作成を求めなかった背景には、米国側に対する過信と、信頼を重視する姿勢があったが、それが誤算となり、結果として関税引き下げの機会を失った。
これにより、日米間の信頼関係の脆弱さが露呈した。日本の外交の甘さと米国依存が問題視されている。
この出来事は、国際交渉における文書化の重要性を改めて示しており、誤解を招く余地を最小限にするためにも、合意内容は確実に書面化すべきだ。
ネットからのコメント
1、我が国では米国は契約社会であるとの認識が定着しています。したがって米国の商取引には膨大な契約書が伴うと大半の日本人は認識していると思います。それが今回の関税交渉では商取引の契約書にあたる合意文書が交わされていないと言うのですから驚きです。しかも内容は莫大な税率や我が国からの投資額を含む桁外れの規模です。どんな理屈を付けても到底納得のいくものではありません。通訳も兼ねて同席していた山田駐米大使に包み隠さず会談の内容を発表してもらいたいですね。
2、赤沢大臣は米国のコーネル大学で経営学や米国式の交渉術を学んだということで、石破首相が交渉役に抜擢したのではなかったか。欧米のビジネス社会では合意した契約内容を細かく文書化してサインすることが常識なのに、米側かた文書化の提案があったにも関わらずここでそれをやらないとはどういうことでしょう。
仮に交渉事にうとい石破首相が文書は不要と言ったとしても、赤沢さんとしては「ここは文書を作らなくてはいけません」と逆に説得するくらいの見識がほしかった。コーネル大学でも数年間は何だったんでしょうね。
3、日本政府があえて合意文書の作成を求めなかった背景には、米国が不当なことはしないはずという楽観的期待があったと見る向きもある。しかし実際には、これは文化論的な甘えではなく、より深刻な政治的習慣の問題だ。すなわち政治家が外交失敗の責任を取らずに済むよう、意図的に文書化や国会・国民への説明を避けるという行動様式である。過去にも、米国に限らず多くの相手国との交渉で、合意内容を口頭説明だけで済ませ、後に条件が反故にされてもそんな約束はないと言い逃れできる形が繰り返されてきた。一度この手法を覚えた政治家は、説明責任を負う必要がなくなるため、永続的にやめようとしない。今回の関税合意を文書化しなかったのも、日米関係の信頼云々ではなく、国内向けに責任を回避するための政治的選択だったと見る方が、はるかに実態に近いだろう。
4、確かに合意文章が作成できれば、ベストだし外交の基本。ただ、赤沢大臣の肩を持つつもりもないが、相手はあのトランプ大統領。合意文章を作ると一定時間がかかるし、細部も詰めなければいけない。その間にトランプ大統領の気が変わり、せっかくの合意がリセットされることを恐れたのではないか。ここは、既成事実で押し切ろうと判断したのか。でも結局、欧州各国のように、ラフな内容でもいいから、合意文章は作成しておくべきだったのだと思う。
引用元:https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/54532428a68b730135dff42e3f706ebe2bc28eb5,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]