京都大学では、湊長博総長の任期満了に伴う次期総長選考で異例の事態が起きた。2026年9月末の任期満了を前に、総長選考・監察会議が6人の候補者から立川康人氏を選出したが、教職員約1400人による意向調査では立川氏は3位だった。1位候補は478票、2位は301票、立川氏は299票(得票率20.8%)で、首位とは179票差があった。6月16日の決定発表後、7月15日に時計台前で教員・学生らが選考過程の透明化を求める抗議集会を開催。選考理由の詳細説明や再調査を求める声が広がっている。

京都大学の総長選考をめぐる問題は、単なる人事の好き嫌いでは片づけられない。約1400人の教職員が示した意思が、十分な説明もないまま覆されたことは、大学という知の場における民主的手続きへの信頼を揺るがす重大な問題だ。特に、1位候補と179票もの差がありながら3位候補を選び、その理由を「対話を重視したリーダーシップ」など抽象的な表現だけで済ませる姿勢は、構成員への説明責任を軽視していると言わざるを得ない。

根本にあるのは、2004年の国立大学法人化以降、総長選考の最終権限が選考会議に移り、教職員の意向投票が事実上の参考資料になった制度設計の問題だ。さらに、学外委員の選任構造など、権限が一部に集中しやすい仕組みも不信を招いている。

改善には、①選考会議が候補者決定理由を具体的に公開すること、②意向調査結果を尊重する明確な基準を設けること、③学内外委員の選任過程を透明化し監査機能を強化することが必要だ。
大学は一部の意思決定者だけのものではない。自由な学問を掲げる場で、構成員の声を軽視する仕組みが続けば、失われるのは一つの人事への納得ではなく、大学そのものへの信頼である。
権威で押し切る時代から、説明と合意で運営する時代へ変わらなければならない。



ネットからのコメント
1、新総長の選考理由の一つとして「対話を重視」との事なので、遅くとも新総長が就任したら自身の総長選の顛末についてオープンな議論の場を設けて欲しいと思う。もちろん旧帝大の歴史はあるけど、京大が同じ旧帝大の阪大や東大とは違う存在感が有るのは学内の独特な雰囲気や研究者も含めた気風だと思う。
最近の京大はそうした尖った個性みたいなものを削って丸くしているように感じますね。
2、どうであれ決定プロセスが曖昧。投票が参考程度の意味しかないならそう明示するべきだし、投票する職員に周知されてないから不満があがるのでは?国から予算引っ張れる人を総長にしたいのだろうが、権力から一定の距離を保つのが西の最高学府たる京大の良さだと思うのだが。
3、様々な研究者が、様々なアプローチで真理の探究を行う場が大学。先ずは権力や政治的圧力から自由でなければならないと思う。京都大学には、その自由を守ろうとする反骨の気風があり、ノーベル賞研究者を最も多く生み出してきたのもそれと無関係ではないと思う。今回の騒動、総長候補の誰に組するつもりもないが、選出の透明性を求める行動は当たり前のことでは。
4、次期総長の決定後に、京都大学が国際卓越研究大学に認定されたとの報道があった偶然かも知れないが、次期総長が密約としてあった、選挙で第1位の人が選ばれていたら「改革が足りない」などと指摘してしばらく認定を先送りする、といった可能性はなかっただろうか?
引用元:https://news.yahoo.co.jp/articles/48ff9c205c065bfbecd42f5241be088258913091,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]