政府が目標としてきた「全国平均時給1500円」への最低賃金引き上げ計画が再び議論されています。当初20年代達成を掲げたこの目標は、経済界の要望も受け見直され、30年代前半への後退が検討されている状況です。現在の全国平均時給は1121円で、全国達成までには大幅な引き上げが必要です。しかし、中小企業の48.4%が「20年代の1500円達成を不可能」と回答しており、足踏み状態が続いています。一方、最低賃金引き上げは生産性向上との因果関係が研究で立証されており、生計水準の維持や格差是正も図れる重要な政策です。労組も改革を求めて活発な活動を見せていますが、現状では中小企業の対応力不足や政策の方向性が課題として浮き彫りになっています。
最低賃金1500円達成の目標が後退している現状には大きな問題があります。この動きは、経済界の圧力を背景に中小企業の負担に配慮した結果とされていますが、果たしてそれが日本全体の未来にとって最善の選択でしょうか?
そもそも、生計費以下の賃金で生活を余儀なくされる労働者が多数存在する状況そのものが異常です。
中小企業の負担を理解しつつも、そうした企業が賃金を維持できない限り経済全体が「低賃金・低生産性」の悪循環に陥りかねません。その上、最低賃金が唯一の格差是正の策となっている現状自体が、日本における労働組合の交渉力不足を象徴しています。
解決策は明確です。まず、一律の最低賃金設定と段階的な引き上げを実施し、その財源として税負担減や支援補助金で中小企業を支えることができます。次に、政府がインフレ率や生活費と連動した柔軟な最賃調整を行い、価値ある労働環境を形成すべきです。そして、弱体化している労働組合の復権を通じて、民間主導での賃金交渉を活性化させるべきです。
賃金を上げられない企業を守ることは一見親切に思えますが、それが未来の働き手の生活や日本の成長を奪うものであるなら、その「保護」は単なる延命にすぎません。今こそ、短期的な利益ではなく、長期的な国益を見据えた判断が求められているのです。
ネットからのコメント
1、最低賃金の引き上げが進まない本質的な背景には、企業の生産性の低さだけでなく、労働市場の構造的な歪みがあります。
特に派遣労働において、労働者が得るべき対価の多くが中間コストとして消えてしまうシステムは、「働く人が報われない」現状を象徴しています。これでは消費も活性化せず、経済の好循環は生まれません。単に最賃の数字を追うだけでなく、マージン率の規制や直接雇用の促進など労働者が主役となる抜本的な制度改革が今こそ必要です。
2、「最低賃金を上げれば生産性が上がる」という話は、現場ではそんなに単純ではありません。例えば、町の印刷会社、パン屋さん、木工所、運送会社が、今日から人件費だけ何割も増えたとしても、翌日から売上や利益が同じだけ増えるわけではありません。価格転嫁もできず、利益も薄いままなら、待っているのは廃業です。中小企業が減れば、大企業も困ります。部品を作る会社、運ぶ会社、修理する会社、地域のお店…。経済は無数の中小企業が土台となって支えています。本当に必要なのは、「最低賃金だけを引き上げること」ではなく、中小企業が適正な価格で仕事を受けられ、利益を残し、その利益から自然に賃上げできる環境をつくることです。
最低賃金だけを先に引き上げるのは、土台を補強せずに建物の階数だけ増やそうとするようなもの。まず支える仕組みを整えることが、日本経済全体の底上げにつながると思います。
3、社会保険料労使折半は実質労働者負担です。恐ろしく高い社会保険料を支払っていることを労働者は認識する必要がある。労使折半分を所得とみなすと、時給1500くらいにはなる。と言うことは、他国と比べて賃金はあまり変わい。雇用者が安く使っているのではなく、国が恐ろしい税負担を求めていると言うこと。まず社会保険料を安くし、そのうえで時給をあげるのであれば、年収の壁をあげる必要がある。
4、最低賃金だけをターゲットにした賃金対策には限界がある。「年収の壁」の問題が解決しないだと、週3だったパートが週2に、と働き控えが増えて、シフト勤務体制の現場を回すのがどんどん厳しくなる状況。賃金上昇の引き換えに人手不足に陥るのであれば本末転倒。どうすれば働きたい人が気持ちよく働けるかを政策の主眼に置いてほしい。
引用元:https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/06877ec0279678b3d917269adfe57a2500ceb8b7,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]