4月上旬、徳島県那賀町消防署で訓練後に救急車へ戻すべき手動式人工呼吸器入りの蘇生バッグが未搭載のまま放置された。同日午後、50歳代女性の救急要請で出動した救急車は、搬送中に心肺停止状態となった女性へ必要な処置を行えず、心臓マッサージを実施。女性は病院で死亡した。消防本部は再発防止策を講じた。

救命の最前線である救急車から、命をつなぐ基本的な器具が欠けていた事実は極めて重大だ。訓練という善意の行為が原因だったとしても、現場で確認できる仕組みがなければ、人の命を守る体制とは言えない。問題の本質は一人の担当者の失念ではなく、出動前点検や装備管理を個人の注意力に頼っていた制度の弱さにある。改善には、出動前の複数人による装備確認の義務化、器具持ち出し時の記録と復旧確認の徹底、定期的な管理監査と訓練手順の見直しが必要だ。医療や消防の現場では「たまたま大丈夫だった」が許されない。
安心を掲げる組織ほど、小さな管理ミスを重大な危機として扱う責任がある。失われた命を無駄にしないためにも、反省の言葉だけでなく、二度と同じ穴を生まない仕組み作りこそ求められる。安全を守る仕事において、準備不足は単なるミスではなく、社会から預かった信頼への裏切りになり得る。
ネットからのコメント
1、私が勤務していた消防本部では、救急車に積載してある装備品を下ろして、訓練に使うことはなかった。訓練は、訓練用の資機材を使って実施されていた。しかし、消防本部によっては、車載装備品の除細動器、パルスオキシメーターを使用する所もあるのでしょう。訓練終了後に、資機材の員数確認をしなかったのでしょう。一人の目では、見落としもあるから、複数人で点検すべきでしたね。
2、救命率を上げるための「訓練」のために積み込んだ機材を持ち出し、それを戻し忘れて「本番」で使えなかったというのは、あまりにも本末転倒で言葉もありません。消防車や救急車において、積載資器材のチェックリスト確認は命に直結する最優先事項のはずです。「うっかり忘れていました」で済まされるレベルの話ではありません。
予備の器具を増やすといった対策だけでなく、「出動前の点検サイン」「訓練後の復元確認」をダブルチェック・トリプルチェックで義務付けるなど、ヒューマンエラーを物理的に防ぐ仕組みづくりを徹底するべきです。
3、病院側が影響はなかったと考えられると見解を出してくれたのは救いですが、ご家族からすれば本当にやりきれない気持ちだと思います。現場の隊員の方々も相当焦ったのではないでしょうか。今回の蘇生バッグは電気を使わずに手動で酸素を送り込めるため災害時や停電時でも機能する非常に重要な器具です。だからこそ救急車には必ず常備されていなければならない基本の道具と言えます。訓練を熱心に行うのは大切なことですが終わった後の片付けと機材の確認までがセットのはずです。今後は他の自治体も含めて複数人でのダブルチェックを徹底してほしいと思います。
4、『救急車内心肺停止』な今回の場合において、気管挿管とは異なるAEDと同レベルの心肺停止時の『基本器具』である『バックバルブマスク』が無かった重大ミスです。言わば、『ホースを積み忘れた消防車』です。
しかも、気管挿管みたいな救急救命士ではないと使用出来ない物とは異なり、救急救命士の制度以前から使用可能だった器具です。今回の事故は、『マウス トゥ マウス』で『人工呼吸』を実施していない限り、『影響が無かった』とは言えないでしょう。
引用元:https://news.yahoo.co.jp/articles/cfcfd789b3e70163df895b814bb71f9218cc3dcf,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]