がん治療専門医の深刻な不足が浮き彫りになった今回の報告は、日本のがん医療の制度の根幹に迫る重要な問題を示しています。
医療現場の現状として、都道府県がん診療連携拠点病院の9割が薬物治療専門医不足に直面している例は、まさに「医療先進国が抱える課題の典型」といえます。この背景には、医療技術の進歩に対し専門医の育成が追いついていない事実が存在します。特に腫瘍内科医の不足によって新規患者の受け入れが縮小される事態は、全国的な医療のバランスを脅かします。

この問題の中心には、専門医の養成のための制度的支援の欠如や労働環境の課題が横たわっています。解決には以下の3つの方策が考えられます:(1)診療報酬の増額により専門医の職域を魅力的にする。(2)地方や若手研修医に対する誘導的なインセンティブの提供。(3)研究機関と連携し、腫瘍内科医養成プログラムを国家として整備する。
がん対策基本法施行から20年で患者ケアは進展したものの、現場の基盤が追随できていないという現実は、医療進展という金メッキの裏に潜む象徴的な影の部分といえます。医師不足が放置されれば、がん患者の命が失われ、社会として取り返しのつかない損失にもなりかねません。医療政策は、「進歩」だけを語るのではなく、そこに必要な「支え」も築かねばならないのです。この問題こそ、国家レベルで取り組むべき最優先課題ではないでしょうか。
ネットからのコメント
1、癌や抗癌剤のマネジメントを行う「臨床腫瘍医」は30年前には殆ど居ませんでしたし需要もありませんでした。2000年を過ぎた頃から少しずつ有望な抗癌剤が上梓され、その必要性が生じましたが基本医者のキャリアは「臓器別」ですので、腫瘍全般を見渡せる医者は少なく、肺癌の専門家、乳癌の専門家、消化器癌の専門家という具合に分かれます。医学教育がそうなっていないので仕方ないと思います。むしろ「がん薬物療法認定薬剤師」の様なコメディカルの活用は人材活用のポイントですが、薬剤師も看護師も優秀な人材は取り合いです。
2、腫瘍内科って、結局、感染症内科と同じで、臓器別で診られるわけではないので、ある程度、専門診療科(消化器内科とか呼吸器内科とか)で一人前になってから腫瘍内科になるわけで、そりゃあ腫瘍内科はいつまでたっても成り手はいないわけで。例えばいくら抗がん剤に詳しいです、でも、上部消化管出血に緊急カメラはできません、とか、気管支鏡できません、じゃあ病院にとってはそれ、別に個々の診療科で癌の治療すればいいやん、となる。昨今の免疫チェックポイント阻害剤の副作用、irAEにしたって内分泌系やら薬剤性肺炎起こっても腫瘍内科が全部診てくれるわけがない。結局、代謝内科に紹介だの呼吸器内科に紹介、になる。究極的にいえば、主治医制が蔓延る日本の医療体制や文化的背景では腫瘍内科は今のところ存在意義が見出だせない。
3、50代の会社員です。この記事を読んで、人事や組織マネジメントの観点からも非常に危機感を覚えました。がんは今や「長く付き合う病気」になりつつあり、私の周りでも治療を続けながら働く同僚が増えています。
ゲノム医療や新薬の進歩は本当に素晴らしいことですが、それを現場で安全に扱える「専門医」というインフラが圧倒的に不足しているのは致命的です。最先端の武器(薬)があっても、使いこなせる熟練兵(医師)がいなければ戦えません。国は診療報酬の手厚いサポートを含め、専門医の育成やキャリアパスの確立を急いでほしい。私たち現役世代やその家族の「命のセーフティネット」を、これ以上形骸化させないでください。
4、消化器内科や糖尿病内科と違って腫瘍内科は開業しても患者が集まりませんからね。自由開業制の日本では開業できない科を選ぶのはそれだけで将来の選択肢を狭めることになるので、その分他の科より給料を高くするなどのインセンティブをつけないと積極的には選ばれないでしょうね。
引用元:https://news.yahoo.co.jp/articles/019cf8d31343a4bd49f7eb0babaa1af587a4b8da,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]