日本政府は2026年から2030年度までの5年間にわたり、科学技術分野への研究開発投資として、政府主導で60兆円、民間を含めると180兆円の投資実現を目指す「第7期科学技術・イノベーション基本計画」を策定中です。これは、研究力の低迷を打破するための取り組みであり、第6期計画で目指した官民合計120兆円の投資目標が未達成に終わった現状を挽回する意味合いを含んでいます。新たな計画では、大学ファンドの運用益や研究開発税制を活用する方針が示されていますが、具体的な財源確保の課題も引き続き議論されています。月末までに最終決定される予定です。
政府の180兆円規模の研究開発投資の目標設定は、日本の深刻な研究力低下に立ち向かう大きな試みです。しかし、今回掲げられた方針が現実的であるかどうかには大きな疑問が残ります。まず、第6期計画の目標達成ができなかった背景には、投資計画の曖昧さや、利益確保モデルの不透明さが挙げられます。今回もその課題が解決されていなければ、同じ失敗を繰り返す可能性があります。また、民間投入額120兆円という規模も、企業に過度な負担を強いる恐れがあります。
本質的な問題は、科学技術への投資を短期的な成果で測る傾向と、計画的な資金投入の不足です。このような積極的大規模な投資には、まず以下の改善が必要不可欠です。第一に、大学ファンドによる助成は現場の研究者に迅速かつ公平に届く仕組みを確立することです。第二に、民間企業への適切なインセンティブ設計を行い、資金負担を共有する具体策を講じるべきです。第三に、研究開発の進捗と成果を計測するための透明な評価システムを導入し、継続的な改善を促す基盤を整えることが重要です。
研究開発は国全体の成長を支える土台であり、短期的な利益では測れない長期的な知的基盤の形成が肝要です。この計画が、単なる数字合わせに終わらず、日本の未来を形作る強固な礎となることを願います。
ネットからのコメント
1、ポスドクです。競争的研究費をただ増やすのではなく、大学・研究機関への運営交付金を増やし安定的な人員を確保してください。大学教員が人員不足のために授業担当が増えて週の大半は研究も学生指導もする暇もなく授業や授業準備、入試関係の仕事、会議等で潰れることはもはや普通だし、事務員などが不足しているために自分で領収書やらをすべて揃え会計処理などの経理仕事をすることに1日が消えるなどしています(研究費は税金で、一部の人間が不正利用したことにより縛りがどんどんきつくなってちょっとした証明にも大量の書類や申請が必要なことが少なくないです)。
すべての研究室に1人秘書さんなんかがついて事務仕事を担ってくれるだけで研究成果増えるんじゃないかな。あと洗い物とか簡単な作業できるパートさんがついたり。今の研究現場が求めているのはでかい競争的研究費じゃないんですよ。
2、予算期限内に使い切ることが優先され、高価な分析装置を我先にと導入し、使える専門人材が足りず稼働率が低いというオチだろう。かつてのナノテク、バイオブームでは、多くの研究機関が似たテーマに殺到し、研究の重複や短期成果狙いのプロジェクトが増えたと言われている。そもそも日本では任期付きの若手研究者が増え、安定したポストが少ないため、優秀な人材が海外大学へ移る例が続いている。研究者が減る中で予算だけ増えても、実際に研究する人がいなければ成果は生まれにくい。過去の計画でも官民120兆円の投資目標は達成できなかった。今回も民間投資頼みの部分が大きく、景気が悪化すれば企業の研究投資は簡単に減る。こうした構造を変えないまま巨額の数字だけを掲げれば、結果として「予算は増えたのに研究力は回復しない」という事態になりかねない。
3、金を出せば研究成果が上がるものでもない。良い研究者が必要である。日本は長年研究者の育成に力を入れてこなかった。博士を非正規雇用で使い捨てにする国である。肝心の研究者がいない国でどのようなイノベーションが期待できるのだろうか、外国の優秀な研究者を高額で雇うのだろうか。
4、予算配分する側が科学への理解度が低いため、選択と集中で、既に結果がある程度出てしまっている分野に後追いでの参入に予算を集中させた結果、優位に立てる分野がどんどん減っているという状況に思えます。
引用元:https://news.yahoo.co.jp/articles/79d70bf4a73a54823b159c399854d9955bb0dd62,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]