"録音機が暴いた息子の本音" 第6話
そうえた。
初めて稼いだで米とさな鍋を買い、平に戻ってご飯を炊いた。茂は炊きたての匂いを嗅ぎ、初めて壁から顔を向けた。子が茶碗を差しすと、彼は粒の涙をいご飯のに落とした。
2ヶ目、茂はしずつきした。掃除をし、洗濯物を畳み、子の帰りを待ってご飯を炊くようになった。芯が残ったり、底が焦げたりしたが、子は文句を言わずべた。
3ヶ目、2は辺のさなカフェで働くことになった。
腰の曲がった女性オーナーは、履歴も元保証もない老夫婦に、何も聞かなかった。
「まあ、やってみなさい」
子は厨でパンとスコーンを焼いた。茂はホールにち、テーブルを拭き、客にをげた。やがてオーナーは茂にコーヒーの淹れ方を教えた。
セメント袋を運び、械を触り続けた節くれだったで、茂はラテアートの練習を始めた。
6ヶ目のある、空は1つない青だった。
子が焼きたてのスコーンをすと、茂がさなカップを持ってきた。そこには器用だが、確かにハートの形が描かれていた。
子が受け取ろうとした、カフェのドアベルが鳴った。
入に、と霞がっていた。
京の匂いをまとったグレーのスーツ。霞の尖ったヒールが、古いのを鳴らした。2は息を切らし、信じられないものを見るように茂を見つめていた。
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霞は価なバッグをに落とし、そのに膝をついた。
「お義母さん、悪かったです」
もカウンターのに崩れるようにづいた。
「パパ、許してくれ。あのの俺はどうかしてたんだ」
子には分かっていた。
その涙は、親を失ったしみではない。自分たちが相続するはずだった財産を失った恐怖の涙だ。
は茂のズボンの裾をつかんだ。
「どうか許してくれ」
子は夫を見た。
茂は震えていた。だが彼は、息子の顔を見なかった。ゆっくり腰を曲げ、のをそっと避けた。
そしてに落ちていたのミルクピッチャーを拾った。
彼は息子に背を向け、コーヒーマシンへ戻った。清潔な布を取り、自分のエプロンについた息子の涙の染みを、無言で丁寧に拭き取った。
その姿を見た、子の胸の奥で凍っていたものが消えた。
夫は選んだのだ。
子はエプロンのを払い、カウンターへ戻った。夫がマシンを守り、子がカウンターを守る。そこが2のしい持ちだった。
霞が震える声で言った。
「お義母さん、どうしてこんなことができるんですか。私たちがここまでをげているのに」
子は2をまっすぐ見た。
そして、涯で番穏やかで、番たい声で言った。
「お客様、ご注文は」
2の顔が固まった。
子はもう度、はっきり告げた。
「申し訳ありませんが、私たちに子どもはおりませんので」
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カフェの空気が凍りついた。
はようやく理解した。これはりではない。みでもない。ただの事実だった。子と茂の世界に、もう彼らはしないという宣言だった。
2は何も得られないと悟り、よろめきながらをていった。
ドアベルが鳴り、今度はきちんと扉が閉まった。
カフェには、のと焼きたてのスコーンの匂いが戻ってきた。
茂は黙ってしいコーヒーを2杯淹れた。今度のは震えていなかった。カップのには、さっきよりしだけったハートが浮かんでいた。
子はその1つを両で受け取った。
2は無言でコーヒーをんだ。
苦かった。
けれど温かかった。
息子は失った。
いいえ、息子は6ヶ、あの録音のですでにんでいた。
夫も失った。
いいえ、あの「ごめん」と屈した夫はに、今、コーヒーにハートを描くしい男がここにいる。
とは奇妙な計算だった。
2はすべてを失い、ようやくすべてを得た。
窓ののは、今も青かった。
子はもここでパンを焼く。
茂はもここでコーヒーを淹れる。
それで分だった。
い獄の果てに残ったさな甘さを、2はもう誰にも奪わせない。
完