"「このおばあちゃん、危ない」六歳の孫が見たもの" 第15話
名を呼ぶ声
になり、は歳になった。
学でしい友達ができたらしく、に来るたびに、先の話やの話をしてくれる。蛇田さんのにも、ときどき遊びにくようになった。
「きよ子おばあちゃん、今、学で梅干しのおにぎりべたよ」
「そう。おいしかった?」
「うん。ばあばの梅干しもべた」
「それはよかったわね」
蛇田さんは、縁側でにお茶をしていた。テーブルには、作りの梅干しと、所のからもらったりんごが並んでいる。
「ちゃん、今度は何かお菓子を買っておこうか」
「ううん。お菓子は自分で選びたい」
「そうね。今度緒にスーパーへきましょう」
蛇田さんは、そう答えた。
私はその会話を聞きながら、あののスーパーをいした。が私のを引き、蛇田さんの顔から笑顔が消えたのこと。あのの私には、何が起きているのか分からなかった。
は、いつもの言葉を理解できるわけではない。理由をうまく説できないこともある。それでも、目ので起きたことをよく見ている。
「ばあば、また計簿いてるの?」
「そうよ。今は梅干しをいただいたからね」
「もらったもの、くの?」
「そう。で何をいただいたのか忘れないためよ」
は、計簿をのぞき込んだ。
「じゃあ、ばあばがきよ子おばあちゃんとお茶したこともくの?」
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「それはかなくても覚えているわ」
「忘れない?」
「忘れないわよ」
は、したように笑った。
そのの夜、私は仏壇のに座った。夫の写真の横には、蛇田さんからもらった梅干しの瓶が置いてある。
「あなた、今も蛇田さんの梅干しをいただいたわ」
返事はない。それでも私は、夫が隣で「それはよかったな」と言ってくれたような気がした。
「もきくなったわ。あの子は、ちゃんと見ているのね。私が気づかないことまで」
写真の夫は、若い頃と同じ穏やかな顔をしている。
私は、計簿をいて最の余にいた。
。がばあばのを引いてくれた。のおかげで、私は困らずに済んだ。。蛇田さんの梅干しをいただく。名を呼ぶことは、お菓子を渡すことより、ずっと簡単で、ずっと切。
窓のでは、のが庭のを揺らしていた。
蛇田さんは、もう毎お菓子を配ってはいない。々、庭で採れたものや、自分で漬けた梅干しを分けてくれる。何も持たずにお茶をみに来ることもある。
は、会うたびに「きよ子おばあちゃん」と呼ぶ。
その声を聞くと、蛇田さんはいつも嬉しそうに笑う。
誰かの名を呼ぶことは、そのがここにいると確かめることなのかもしれない。何かをもらわなくても、何かを渡さなくても、声をかけるだけで伝わる気持ちがある。
あの、が私のを引いてくれたおかげで、私はそれをることができた。