"消えた卵の秘密" 第10話
甘いケーキと幸せな
「よし! 暗い話はおしまい!」
陽斗がちがり、パンパンとを叩いた。
「今はがのさなヒーローのために、パパが特製のお疲れ様会を用しましたー!」
そう言って蔵庫から取りしてきたのは、元で番気の菓子のきなホールケーキだった。真っなクリームのに、真っ赤な苺がこれでもかというほど敷き詰められている。
「わあぁぁぁッ!! ケーキだ! きいイチゴがいっぱい!!」
凛は目を輝かせてびねた。
「やったね凛! じゃあ、切り分けてみんなでべようか」
私が包丁を用しようとすると、凛がピシッと差し指を陽斗に向けた。
「あ、でもパパはダメだよ」
「ええっ!? な、なんで俺だけ!?」
陽斗がショックを受けたように叫ぶと、凛は腕を組んで得げに胸を張った。
「だってパパ、ベルトがブチって切れるくらい太っちゃったんでしょ? それに、この凛のケーキべたじゃん!」
「うっ……そ、それは凛が『内緒であげる』ってくれたから……」
「でも、べたのはべたもんねーだ!」
「茜、助けてくれ〜!」
けない声をげる夫を見て、私は吹きしてしまった。
「まあ、確かにベルトが千切れるのは健康面でもちょっと配だしね。パパは今、した方がいいかもね?」
「そんなぁ……! 俺、命がけでタックルしたんだよ!? あのタックルがなかったらケーキすらべられなかったんだぞ〜!」
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のが本気でに転がってジタバタする姿に、リビングはきな笑い声に包まれた。
凛はクスクスと笑いながら、フォークでさく切り分けたケーキの端っこをすくい、陽斗の元へそっと差しした。
「……ん。しょうがないから、パパ助けてくれたお礼に、だけあげる」
「凛……! やっぱりおは使だ……!」
陽斗は涙目できなをけ、ぱくりとケーキを頬張った。
「……う、うまい……! だけでも、めちゃくちゃ幸せだ……!」
「ふふ、げさなんだから」
私も自分のフォークでケーキをすくい、陽斗のへ運んであげた。
「はい、私からも。って帰ってきてくれて、本当にありがとうね」
「茜……! うう、きててよかったぁ……!」
幸せそうに頬を緩める夫と、それを見て楽しそうに笑う娘。
何気ない常の卓が、どれほど奇跡のようなバランスで成りっているのかを、私は今回の事件を通して骨の髄までいらされた。
血が繋がっているからといって、無条件にしえるわけではない。
けれど、相をいやり、守りたいと願ういがあれば、族はどんな困難も乗り越えていけるのだ。
「あ、そうだママ!」
ケーキをべ終えた凛が、の周りにいクリームをつけたまま、元気にを挙げた。
「の朝ごはん、凛が作ってあげる!」
「えっ、凛が? 何を作ってくれるの?」
「えっとね……もやしのナムル!」
「あはは! もやしなら、卵みたいに事件にならないし、ヘルシーでパパにもぴったりね!」
「うっ、もやしかぁ……でも凛が作ってくれるなら、丼杯でもべるぞ!」
陽斗が笑い、凛が笑い、私も笑った。
窓のを見げると、夜空には澄み切ったが優しく浮かんでいた。
私たちはこれからも、互いを信じ、守りいながら、この温かい所で歩ずつ確かな幸せを紡いでいく。
甘いケーキの余韻と族の笑顔に包まれながら、私はへと続く穏やかな夜を、からおしく噛み締めていた。