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"正月の高級焼肉、嫁の席だけ外した義母の誤算" 第10話

それぞれの正としい指定席

夫の号にい正論に、個の誰もが言葉を失っていた。

その沈黙を破ったのは、ずっと押し黙っていたさんだった。

『……さよ子さん、私、玄関で見てたわよ。美代ちゃん、コートをに持って、みんなと緒にく気満々だったじゃない。「嫁なんだから留守番でいい」って笑って追いしたのは、あなたと直子ちゃんじゃないの!』

千さんも泣きしそうな声で続けた。

『毎送ってた集写真……美代ちゃんが度も写ってなかったのは、撮らされてたからなのね……。私、そんなことも気づかずに……美代ちゃん、本当にごめんなさい……!』

親戚たちの非難の矛先は、完全に義母と直子さんへと向けられた。

『あ、あのが……美代さんが秀を唆したのよ!』

最まで私のせいにしようと掻く義母に、雄叔父さんがのようなを浴びせた。

『見苦しいぞ、さよ子! 文字で残された証拠があるのに、まだ嫁のせいにする気か! 清ので、正にこんな浅ましい恥を晒すとはにもわなかったよ!』

くなった義父の名をされ、義母は完全に沈黙した。

夫はテーブルののスマホに向かって、最の言を静かに告げた。

「俺たちは円も払わない。自分たちがべた分は、自分たちで責任を持って払ってくれ」

ピッ。

通話を切ると、リビングには静寂が戻ってきた。

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夫はいため息をつき、テーブルに突っ伏した。

「……疲れたな」

「お疲れさま、秀さん」

私はちがり、台所でお湯を沸かして温かいほうじ茶を淹れた。湯呑みを夫のに置くと、夫は両でそれを包み込み、さく笑った。

「親父が見てたら、ったかな」

「ううん。秀さんのこと、よく言ったって褒めてくれたとうよ」

その、千さんからかかってきた話で、赤坂の結末を聞かされた。

あの、親戚同で伝票を回し、万円という途方もない額をに全員のがガクガクと震えていたという。結局、雄叔父さんの仕切りで、空席になった夫の分のコース代と、直子さんが勝に頼んだ級ワイン本分を義母と直子さんの庭で全額負担させ、残りを各庭の数割りで支払うことになったそうだ。

義母と直子さんのだけで、晩で万円い費になったという。

それ以来、親戚同は義母と完全に距を置くようになった。

翌の正。

私と夫は、群馬県伊保温泉のさな温泉宿にいた。

湯がりに、温泉の片隅にあるこぢんまりとした焼肉の簾をくぐる。カウンターとがりがつだけの、元のにされる素朴なだった。

「お正にご夫婦でご旅なんて、仲が良いのねぇ」

女将さんが運んできてくれた輪ので、元の州牛がパチパチと音をてる。

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夫はビールグラスを掲げ、悪戯っぽく笑った。

「美代、乾杯しよう。今はちゃんと席があるだろ?」

「うん、最の特等席ね」

で顔を見わせて声をげて笑った。

正に親戚へ払っていた数万円のおは、すべてで全国の温泉を巡るための積に変わった。義母からの勝な連絡はすべて夫が遮断し、義実の呪縛から私たちは完全に解放されたのだ。

ふとスマホを見ると、千さんから枚の写真が届いていた。

自宅のリビングで、千さんが笑顔で並んでいる写真だった。その端には、誰も座っていない座布団がつ、綺麗に置かれていた。

『美代ちゃん、来はうちのお正においでね。美代ちゃんの席、ちゃんと用して待ってるからね』

窓のには、柔らかな灯に照らされた伊保の段がどこまでも続いていた。

網ので、夫が真っ先に私の分の牛タンを丁寧に裏返してくれる。

もう誰の顔を窺うこともない。誰かの犠牲のに成りつ偽りの族ごっこに付きう必もない。

ちる温かい湯気の向こうで、好きな夫と笑いいながら、私はしいの始まりをから噛み締めていた。

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