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"車椅子の妻を離島に置き去り――船上の夫が見たもの" 第20話

私ので選ぶ

引っ越しからかが過ぎた。私は週に度のリハビリを続け、装具とすりがあれば、以よりくてるもてきた。けれど疲れがいは、位の練習を休む。歩けるようになるかどうかは、まだ分からない。私はその確かさを以ほど恐れなくなっていた。てないにも、私の活は続いていくからだ。

しい部には、子で使いやすい机を置いた。私は体調のよいに、以勤めていた印刷会社から経理の補助業務を請け負うようになった。最初は週に数、請求の確認と帳簿の理だけだったが、しずつ仕事が増えた。会社のたちは特別扱いをせず、私の仕事の正確さを見て依頼してくれる。それが何より嬉しかった。

ある、から座の定期確認の案内が届いた。私はオンラインで必な続きを済ませ、将来の活費の計画を見直した。賠償は今も私名義の座で管理している。医療費、移支援、まいの維持費、将来の介助費用。数字は簡単ではないが、私は自分で考え、必なときには専に相談する。夫に言われた「じゃにもけない」という言葉は、もう私を縛らなかった。

姉の子は、仕事の休みのに遊びに来てくれる。私も移支援のを予約し、へ顔をすようになった。

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先でのを替えていると、常連の女性が「千紗さん、より表がるくなったわね」と言った。私は笑って「自分で予定を決められるようになったからかもしれません」と答えた。きな成功があったわけではない。ただ、の予定を考えるのが怖くなくなった。

島田さんからは、の初めにいが届いた。港の管理で私がんだ湯みは、今も棚に置いてあるという。「あの、無事に戻れて本当によかった。今度来るなら、子でもける港のくの景を案内します」とかれていた。私はその言葉を読み、あの島を恐ろしい所としてだけ覚えておきたくないとった。悪いことをしたのは島ではなく、私を置きりにした夫だった。

になり、私は川さんにつの相談をした。「いつか、もう度あの島へってみたいんです」。川さんは驚いた顔をしたが、すぐに「それなら全な経と支援を確認しましょう」と言った。私は笑った。「今度は展望台へかなくてもいいんです。港でを見て、帰りのに乗れれば」。それだけで分だとった。

旅の準備はとはまるで違った。会社に子の利用方法を確認し、帰りの便を自分の名で予約した。姉と川さんにも程を伝え、候が悪ければ延期することにした。端末は今も持っているが、それを使わずに済むよう計画をてる。

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自分の全を考えることは、誰かを疑うことではない。自由にかけるための準備だった。

当、姉とで港へ着くと、乗に見覚えのある職員がいた。川さんだった。私の顔を見るなり「お久しぶりです」と声をかけ、子用の渡し板を準備してくれた。私は「今は帰りの切符もあります」と言って予約票を見せた。川さんは瞬驚き、それから静かに頷いた。「お帰りのときも、お伝いします」

は穏やかなをんだ。窓のに島が見え始めると、胸の奥がしだけ張った。あの坂も、港のすりも、まだ覚えている。私はその記憶を消そうとはしなかった。怖かったことをなかったことにする必はない。今ここにいるのは、あのの自分が助けを求め、戻るを選んだからだ。

島の港では島田さんが待っていてくれた。私は子のままが見える所へ案内してもらい、姉とで温かい茶をんだ。展望台へ続く坂はくに見えたが、そこへこうとはわなかった。私は港のいすりへ目を向けた。あの、そこで秒ほどったことをいす。夫の驚いた顔よりも、の裏にじた面のさのほうが鮮だった。

帰りののがづくと、私は自分で計を見た。「そろそろこうか」。姉が頷き、私たちは待所へ向かった。

川さんが渡し板をかけ、私の子を全な位置へ案内してくれた。私はに乗る、もう度だけ港を振り返った。あのは、私を乗せないがざかっていった。今は、私が選んだが私を待っている。

がゆっくり岸をれた。私は窓辺に座り、膝のに自分の鞄を置いた。には財布も話も、帰りの切符もある。姉が「、きれいね」と言った。私は「うん」と答え、窓のへ目を向けた。潮の向こうに、本の町がしずつづいてきた。

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