"銀座の384万円" 第10話
摩楼の戴冠
事件から半が過ぎた。
初の爽やかな青空が、京・町の真藤グループ本部ビルの全面ガラスを鮮やかに染めげていた。
階に位置する総帥執務。
私はマホガニーの広なデスクに向かい、事業に関する決済類に万をらせていた。元の類には、何百億円という規模の規投資案件が並んでいる。
コンコン、と控えめなノックの、専属秘が恭しく入してきた。
「総帥。例の件について、法務部より最終報告が届きました」
差しされたファイルを、私は静かにめくった。
田達也には、懲役ヶの実刑判決がされ、すでに府刑務所へ収監されていた。当然ながら退職は全額支。彼が購入していた級、ブランド計、仕てのスーツはすべて差し押さえられ、競売にかけられた。
それでも横領した億円の穴埋めにはく及ばず、達也には涯をかけても返済能な莫な賠償債務がくのしかかっている。所も、与の部分が涯差し押さえられ続ける過酷な雇い労働の未来が確定していた。
義母のもまた、詐欺未遂の共犯として罪判決を受け、執猶予付きではあるものの、んでいた自宅マンションを賠償のために制退させられていた。
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所に悪評がれ渡った彼女は、今や郊の寄りのない齢者向けの格アパートにを寄せ、わずかなを削りながら、孤独と世のたい目に怯えて暮らしているという。
援助を求めていた義弟夫婦も、達也の横領から遣いを受け取っていたことが問題され、義弟の勤務先で格処分を受け、親族での激しい罵りいの末に庭崩壊へと至った。
「……そうですか」
私はファイルを閉じ、静かに息を吐きした。
同のは、欠片も湧かなかった。彼らは自らの底なしの欲と虚栄に従ってし、その結果として自滅しただけのことだ。
の善を踏みにじり、族という神聖な絆を単なる搾取の具としてしか見ない者たちに、本物の温もりが与えられることは永にない。
私はデスクをれ、から井まで広がる巨なパノラマウィンドウのにった。
には、どこまでも広がる京の並みが広がっている。張り巡らされたをる無数のの列、き交う々。その巨な社会の脈を支え、守り続けることこそが、真藤グループの総帥として私が背負うべき真の責務だった。
ふと、執務のサイドボードに目を留める。
そこには、あの夜、私が座のから持ち帰った、万円のオレンジの袋から取りされたエルメスのバッグが、切に飾られていた。
誰かの虚栄を満たすための貢ぎ物ではなく、私が自らの誇りと尊厳を取り戻した、あの決別の夜の記碑として。
「総帥、まもなくグローバル役員会議のおでございます」
秘がドアをけ、くをげた。
「ええ、きましょう」
私の取りに、もはや何の迷いも、怯えもなかった。
過の純物はすべて削ぎ落とされた。私の目のに広がっているのは、自らの志と揺るぎない力で切り拓いていく、どこまでも輝く未来だけだった。