"7年伸ばした髪を妹に切られた日、婚約者まで笑った" 第20話
私が選ぶ髪
さな式は、の見える会でった。招いたのは瀬の族と、福岡で緒に働いてきた仲、く付きいのある友たちだった。津田さんは私の姿を見ると「その髪型、よく似ってる」と笑い、野は「今は仕事の話、絶対に取らないでくださいね」とを押した。私は笑って頷き、端末を鞄の奥にしまった。
式のに、野が「写真を撮ってもいいですか」と尋ねた。私は「私たちだけで見るなら」と答え、野は「もちろん。公するものは必ず確認します」と言った。たったそれだけの確認が、胸に静かなを広げた。あの、私の顔は断りなく撮られ、勝に見せられた。今は、自分が写る写真を誰に見せるかまで、私が決められる。
瀬の母親は、私のを取って「今は寒くない?」と聞いた。私は「丈夫です」と答えたが、彼女は「無理しないでね。寒かったらすぐ言って」と言った。それだけのことなのに、胸の奥が温かくなった。族だから何でも分かるはずだと言われるより、分からないから尋ねてもらえる方が、ずっとできる。私はその、初めて自分から「し肩に掛けるものを借りてもいいですか」と頼んだ。
式の途、瀬は私に向かって「これからも、分からないことは聞きっていきたい」と言った。私は「私も、嫌なことは嫌だと言えるようにします。
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うれしいことも、ちゃんと伝えます」と答えた。誰かを笑わせるために泣く必も、されるためにし続ける必もない。私たちはその約束を、げさな言葉ではなく、これからの活ので確かめていくのだとった。
同じころ、静岡の実では母が古い写真を理していた。私がい髪で写る写真も、い髪になった直の写真もあった。父はその枚を見て、「あの、止められたんだよな」と呟いた。母は頷いた。誰かがはさみを取りげ、誰かが笑うのをやめ、誰かが私の話を聞いていれば、あのだけでも違うものになっただろう。しかし彼らは、何度も同じ選択をしてきた。
美緒は母の隣に座り、写真のの私を見つめた。「私が髪を切った、お姉ちゃんを失ったとってた」。母は写真を戻しながら「もっとから、しずつ失っていたのよ」と言った。美緒は反論しなかった。自分がしたことは、悔したからといって消えない。だから今は、目のにいるを傷つけないようにきるしかない。それが姉への償いになるかどうかも、姉が決めることだった。
修は共通のが投稿した式の写真を、偶然目にした。い髪の私は、隣のを見げて笑っていた。彼はしばらく画面を見つめ、それから静かに閉じた。何かを言いにく資格も、過を取り戻す方法もない。
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あのとき自分が渡したのは、はさみの使い方ではなく、相のを傷つけるための識だった。そのことを認めるまで、彼にはいがかかった。
式が終わると、私は瀬と辺をし歩いた。がく、い髪が頬にかかった。「伸ばしてみたくなったら、また伸ばせばいいね」と瀬が言った。私は「そうね。でも今は、このさが好き」と答えた。彼はそれ以何も言わず、私の歩く速さにわせた。は静かで、くの波だけがくっていた。
、私は誰かに好かれるために髪を伸ばし、切られても笑って許すことを求められた。今は、髪を伸ばすか切るかだけでなく、どこで暮らし、誰とを過ごし、どんな仕事を引き受けるかを、自分で決めている。あの、に落ちた髪は戻らない。けれど、失ったの続きを、誰かに決めさせる必はもうなかった。
「そろそろ戻ろうか」
瀬が尋ねたので、私は頷いた。会には私たちを待つがいる。私はで乱れた髪を指でえ、振り返った。今度は、自分が帰りたいとう所へ帰るのだ。