みかん小説
本棚

"「片親の貧乏人」と息子を叩いた社長、母の正体を知って絶句" 第18話

お母さん、無理だけはしないで

曜。

祥太が昼にやってきた。

「ただいま」

「ここ、あなたのじゃないでしょう」

「実なんだからいいじゃん」

そう言いながら蔵庫を勝にける。

「唐揚げは?」

「まだ作ってないわよ」

「えー」

歳のとはえない。

そこへ母もやってきた。

でキッチンにち、私は唐揚げを揚げ、母は噌汁を作り、祥太はサラダを担当した。

「祥太、トマトきすぎ」

「べれば緒でしょ」

「昔から雑なのよ、この子」

笑い声が部に広がった。

しまで、こので祥太が泣いていたとはえない。

頬に平打ちの跡を残し、信じた女性に裏切られ、自分のまれ育った庭まで侮辱されていた。

あの夜、私はりに任せて社へ話した。

けれど結果として分かったのは、単なる結婚トラブルよりずっときな問題だった。

正を続けた取引先。

賄賂を受け取った副社。

私を失脚させようとした物。

そして父が最まで会社を守るためにめていた調査。

もし私がだけでいていたら、ここまで静に対処できなかったかもしれない。

父から何度も聞かされた言葉をいす。

《っているほど、晩置け》

今なら、そのがよく分かる。

事が始まると、祥太が突然私を見た。

「母さん」

「何?」

「最ちゃんと寝てる?」

「寝てるわよ」

「何?」

広告

「……くらい」

「ない」

すぐに母まで加勢した。

「桃、あなたまた無理してるでしょう」

「して何なのよ」

「だって配だから」

祥太が真剣な顔になる。

「じいちゃんみたいに急に倒れないでよ」

私は箸を止めた。

父の最期をいすと、何も言い返せない。

「分かったわ」

「本当に?」

「本当に」

「仕事も事だけど、休むのも社の仕事だからね」

「誰にそんなこと教わったの?」

「母さん」

笑ってしまった。

昔、私が祥太へ言っていた言葉らしい。

子供は親の言葉をった以に覚えている。

事を終えた、祥太は仏壇のへ座った。

「じいちゃん。母さん、結構頑張ってるよ」

私はしれた所からその背を見ていた。

「でも頑張りすぎるから、ちゃんと見てて」

返事はない。

けれど、遺の父は穏やかに笑っている。

私は社になった。

だからといって急にいになったわけではない。

迷う。

失敗する。

悔しくて眠れない夜もある。

それでも以と違うのは、で全部背負う必はないとっていることだ。

母がいる。

祥太がいる。

会社にも信頼できるたちがいる。

助けてもらうことはさではない。

父と母が、の私に教えてくれたことだった。

夕方、祥太が帰るになった。

「じゃあまた来るね」

「今度は自分で何か持ってきなさい」

「分かった。コンビニのプリンでいい?」

広告

「歳にもなってそれ?」

「母さん好きでしょ」

玄関で笑いう。

ドアをける、祥太が振り返った。

「母さん」

「何?」

「俺、片親で良かったとは言わないよ。父さんがいたらってったこともある」

私は黙って聞いた。

「でも、母さんに育ててもらって良かったってってる」

胸の奥がくなった。

「急に何?」

「言いたくなっただけ」

照れたように笑って、祥太はへた。

私はしばらく玄関にっていた。

あの、社から投げつけられた言葉をいす。

《片親の貧乏》

今となっては、腹もたなかった。

あのが私たちのをらなかっただけだ。

祥太が泣いた夜。

私が仕事と育児ので倒れそうになった。

両親が夕飯を作って待っていてくれた夜。

祥太が初めて料でプレゼントを買ってくれた。

そんなを、たったつの「片親」という言葉で測れるはずがない。

私はリビングへ戻り、父の写真のに座った。

「お父さん」

写真のの父に向かって笑う。

「私、もうし頑張ってみるね」

父のような社になる必はない。

私は私なりのやり方で会社を守ればいい。

ただつだけ、父と同じでありたいことがある。

を肩だけで判断しないこと。

族を切にすること。

そして、自分を信じてくれたを裏切らないこと。

翌朝。

私はいつものに会社へ向かった。

社へ入り、窓をける。

朝のが机いっぱいに差し込んだ。

父から受け継いだ会社。

祥太と母に支えられている私の。

どちらも、誰かに見せるための肩ではない。

、自分で守っていくものなのだ。

私は父の古いメモを引きしへ戻し、しい資料をいた。

そして今も、自分の仕事を始めた。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: