"高熱の娘を置き去りにした姉は、私の夫と不倫旅行中だった" 第1話
い額とたい背
真のぬるいが吹き抜ける午。都の宅にある私の自宅の玄関先に、けたたましいキャスターの回転音が響き渡った。 ドアスコープを覗くまでもない。乱暴にドアベルを連打するその無慮なリズムだけで、来訪者が実の姉である麻里奈(まりな・歳)であることはだった。
鍵をけた瞬、派な判のサングラスをに乗せ、リゾートのマキシ丈ワンピースにを包んだ姉が、のい匂いと共に同然の勢いでがり込んできた。 「おはよー、美! 準備できた? ほら、(こころ)を連れてきたわよ。はい、バトンタッチね!」
姉の両腕から無造作に私の胸元へと押し付けられたのは、かになる私の姪、ちゃんだった。 首元が汗でじっとりと濡れ、いつもなら「あー、うー」とらしい声をげて私の指を握り返してくるはずのさなが、だらりと力なく垂れがっている。抱きげた瞬、私の腕の皮膚越しに、ただならぬ気が伝わってきた。
「……ちょっと、お姉ちゃん。ちゃんの体、すごくいよ? 息も荒いし、顔も真っ赤じゃない」 私が驚いて問い詰めると、姉はきなブランド物のトランクケースの持ちを引きしながら、鬱陶しそうに眉をひそめた。
「はあ? 子供なんてちょっとけばすぐくなるもんでしょ。
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平気平気、さっきまで普通にしてたわよ。それよりさ、今から、あの子の乳とかオムツは適当にそっちで買っといてよね。応、着替えだけはこの袋に入ってるから」 「って……本当に今から旅にく気なの!? まだ歳にもなってない自分の娘を置いて!?」
私の痛な叫びを、姉はパチンと指を鳴らして笑に付した。 「何よ、固いこと言わないでよ。あんた、結婚しても経つのに子供ができないってずっと悩んでたじゃない。ちょうどいい子育ての予練習になるでしょ? 謝してほしいくらいだわ。私だってシングルマザーで普段ストレス溜まってんの! たまの息抜きくらい母親にだって権利があるでしょ!」
姉は、いわゆる「できちゃった結婚」で入籍したものの、「事ばかりで自由がない」「っていたセレブ婚と違った」と言い放ち、ちゃんを産してわずかかでスピード婚していた。以来、実や私に娘を押し付けては、夜な夜なクラブやコンへと繰りす自堕落な活を続けていたのだ。
だが、今回はただの夜遊びではない。き先はアジアの級ビーチリゾート。期は実にに及ぶ。 「待ってよ、お姉ちゃん! せめて児科に連れてってからにして! この、絶対に度以あるよ!」 私がちゃんを抱きかかえたまま靴を履き、引き止めようと腕を伸ばした瞬、姉はサッとをかわした。
「うるさいわねえ! フライトのに遅れたらどうすんのよ! あんた宅ワーカーでにいるんだから、病院くらいあんたが連れてきなさいよ! じゃあね、お産買ってくるからサンキュー!」
バタン!
激しい音をてて玄関のドアが閉ざされた。 直、からタクシーのドアが閉まる音と、急加速していくロードノイズが響いた。 取り残された暗い玄関で、私の腕のにいるさな温もりが、ヒック、ヒックと浅く苦しげな呼吸を繰り返していた。