"出張先で娘が「物置で寝てる」と泣いた夜" 第10話
がの灯
の澄み切った青空の、亮平は自宅の庭にっていた。
扉のインターホンには最型の録画能付き防犯カメラが設置され、玄関ドアには堅牢なツーロックのシリンダーが鈍いのを放っている。
のからは、美のるい笑い声と、苗がをいながら昼の準備をする包丁の音が響いていた。
あの以来、美の数は完全に元に戻っていた。学から帰ると「パパ、今ね!」と駆け寄って抱きつき、そのの来事を飽きることなく話してくれる。夜に物音に怯えることもなくなり、自分の部のベッドで朝までぐっすりと眠るようになった。
苗もまた、以の穏やかな笑顔を取り戻していた。実の両親には事の顛末をすべて報告し、い支援への謝を伝えた。義母という圧から解放されたのには、本来あるべき温かな族の空気が満ち満ちていた。
ガラリ、と勝がき、苗がエプロン姿で顔をした。
「あなた、ご飯できたわよ。美がお腹空いたって騒いでる」
「ああ、今くよ」
亮平は作業用袋をし、リビングへとを踏み入れた。
テーブルのには、湯気をてるハンバーグと、美の好きなコーンスープが並んでいる。
「パパ、く座って! いただきますできないよ!」
子のでをパタパタと揺らしながら、美が満面の笑みで呼んでいる。
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「はいはい、お待たせ」
亮平が席に着き、でをわせる。
「いただきます!」
元気な声が部いっぱいに広がる。何気ない、どこにでもある常の景。しかし、この平穏を勝ち取るために、どれほどの覚悟と決断が必だったかを、亮平は決して忘れることはないだろう。
波をてないこと、親の顔を窺うこと、世体を守ること——そんなものは、族の命と尊厳に比べれば、片の価値もない屑に過ぎなかった。
守るべき瞬に、逃げずにち向かうこと。
妻のを握り、娘の涙を拭い、たとえ肉親であっても悪には毅然として鉄槌をすこと。それこそが、の主であり、父親である男の唯の責務なのだ。
、美が学の図のに描いたという絵本を誇らしげに広げて見せてくれた。
そこには、きな角根のと、そのでをつないで笑うの姿が、鮮やかなクレヨンで力く描かれていた。そして、の扉には、に輝くきな鍵が描かれている。
「これね、パパとママと美のおうちの鍵だよ。温かいものだけが入れる鍵なの」
美の無邪気な言葉に、亮平と苗は顔を見わせ、温かく微笑みった。
「そうだな。この鍵は、俺たち族の約束の印だ」
窓から差し込むの柔らかな差しが、のをなりわせるように優しく照らししていた。
暗くたい物置の底から始まった闘いは、完全に終わった。
しく掛けられた頑丈な鍵の向こう側で、彼らの本当の庭が、確かなを放ちながらしいへと歩み始めていた。