2024年春に開催される野球のワールド・ベースボール・クラシック（WBC）は、日本国内でNetflixによる独占配信が決定し、地上波放送が消滅する異常事態となった。前回大会は高視聴率を記録していた地上波放送が消え、広告代理店電通が放映権から外された。一方、同年6月のサッカーW杯北中米大会はDAZNの配信に加え、NHKなどによる地上波放送も決定し、視聴環境に格差が生じる。

スポーツ放映権料の高騰が問題視されており、日本の放送局が「赤字」に苦しむ中、Netflixなどの「黒船」が赤字覚悟で独占配信権を手に入れた。

今回の事件は、スポーツイベントの放映権をめぐる価格高騰に端を発している。この異常事態は、ビッグイベントの視聴環境を変え、地上波テレビの地位を徐々に失わせている。放映権料が急激に上昇した背景には、日本経済の「失われた30年」や円安が影響している。問題の本質は、放映権の値段が適正ではないことにある。高額な放映権がテレビ局の収益を圧迫し、結果として無料で視聴できる機会が減少している。また、海外のメガ企業がこの市場に参入することで、日本の放送局が圧力を感じ、経済的な制約を受けざるを得ない状況だ。

解決策としては、まず1つ目に、放映権料に対する国際的な規制を設け、市場を整備することが挙げられる。これにより、価格の急上昇を防ぎ、適正な価格で放映権を運用することが可能となる。次に、日本国内でのコンテンツ制作や放送環境のデジタル化を促進し、配信方法を多様化することだ。これにより、地上波局も新しい収益源を見つけることができる。最後に、視聴者の声を集め、無料での視聴機会を守るために、公共の利益を考慮した施策を導入するべきだ。

このような現状を放置することは、視聴者の権利を奪うのみならず、日本の放送文化をも危険にさらす。テレビ局と配信業者の間のチキンレースで犠牲になるのは、視聴者自身である。適正な放映権料の設定と視聴環境の改善が急務だ。日本の放送業界は、この危機を乗り越えるため、今こそ変革に踏み出さなければならない。

ネットからのコメント

1、「日本の放送局にはハンディも存在する」この発言は現実を知らないとしか思えない。日本のテレビ局が払っている電波使用料は他の先進諸国に比べると数十分の1。高いところだと年間200億円以上のところ日本では数億円。

これは先進国中唯一電波オークションを導入していない日本ならではの特典。他国から見たらタダ同然で電波を使いながらちょっと不利な状況があると「日本にはハンデがある」とかわがまま過ぎてびっくりする。どれだけ特別扱いされるのを当たり前と思ってるのか。

2、電通が関与しているからといって、それが必ずしも正解とは限りません。率直に言えば、DAZNよりもNetflixの方が料金は手頃で、コンテンツの充実度も高いと感じています。しかし、「野球の世界的な普及」を掲げるのであれば、アメリカ企業やMLBが主に利益を得る構図や、すでに野球人気の高い日本でのみNetflix配信が行われる現状には、疑問が残ります。欧州など、野球がまだ根付いていない地域への展開が不透明なままでは、本来の目的と矛盾してしまうのではないでしょうか。選手たちは、それぞれの国を背負って真剣勝負に臨んでいます。その姿勢に応えるためにも、「野球を世界に広める」という理念を、どうか見失わないでいてほしいと願います。

3、野球に限った話に限らず、スポーツ中継は金出してみるもの、というのが世界のスタンダードになりました、と言う話かなと感じてるなぁ。

日本以外で開催されるスポーツは全般そんな感じ、WBCに限った話ではないでしょう。それベースで、中継元が無料開放するかどうかの違い、が今後も続いていくのが普通になっていくんじゃないかなぁ。

4、ビジネスモデルでいえば中間事業者を挟まずに無駄のないコストでサービスを提供できることは良いこと。視聴者側からすれば、観たい人がお金を出せば良いだけだからこれも無駄がない。NHKをスクランブル放送にというニーズの仮想ともいえるから、多くの国民の望んだ形でもある。放映権の高くなりすぎたスポーツ大会はこれでいいと思うよ。