"消えた水色の妹" 第4話
作業はくずと騒音がるため、内側から鍵をかけ、美を入れなかった。
美は疑問を持たなかった。作業部からてくる啓介のにはのが付着し、実際に棚や子を作っていたからだった。
2004、啓介は会社を辞め、さな貿易コンサルティング事務所を設した。取引先は順調に増え、数には従業員を雇うまでになった。
周囲のにとって、啓介は仕事のできる経営者であり、失踪した義妹を捜し続ける誠実な夫だった。美の会社の同僚からも、あれほど族いの男性は珍しいと言われていた。
ただし、いくつかのさな違は残っていた。
百の同僚だった子は、2003に美夫婦と事をした。その席で何気なく百の好物について話した瞬、啓介の箸が止まった。
しみでけなくなったようには見えなかった。何かを突然いし、表へないように押さえ込んだような止まり方だった。
「百ちゃん、あののオムライスが好きだったんです」
「そうですか」
啓介はく答えると、すぐ別の話題へ移った。子は気になったものの、義妹の話を聞くのがつらかったのだろうと自分を納得させた。
啓介の元同僚である子にも、別の記憶があった。百の失踪、啓介は会社で残業すると言いながら、実際には事務所にいないが増えていた。
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ある夜、子が忘れ物を取りに戻ると、啓介の机の照は消えていた。翌、啓介は夜も遅くまで働いていたと周囲へ話していた。
子は、しむ妻のいるへ帰りたくなかったのだろうと考えた。それ以理由を追及することはなかった。
2005の、百に似た女性を福岡ので見たという報が寄せられた。文、美、啓介の3はすぐ州へ向かい、3周辺を捜した。
結局、違いだった。帰りの内で美は泣き続け、啓介は言も話さず運転した。
「百、本当はきているのかな」
美が呟いても、啓介はを見たまま答えなかった。その沈黙を、美は夫も同じ痛みに耐えているからだとった。
2006、啓介はベランダの作業部を拡張した。内側へしい板と膏ボードを張り、へ防音材を敷く事を、業者へ頼まずでめた。
「業者を呼んだ方がくない?」
「この程度なら自分でできる。それに、趣の部だから自分で作りたいんだ」
事をしていた約1か、啓介はひどく神経質になった。美がみ物を持って作業部へづいただけで、声を荒らげたこともあった。
「入るなと言っただろう。釘が落ちていて危ないんだ」
啓介が美を鳴ったのは、そのが初めてだった。だが、事が終わると、以より穏やかになった。
く塗られたしい壁のには棚が置かれ、作業具が然と並べられた。
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壁の部だけがわずかにくなっていたが、美は気づかなかった。
啓介は、きな荷物をようやくろしたのように見えた。
20082、百の失踪から7がづいていた。啓介は事務所の拡張を理由に、仕事のくにある広いマンションへ移ろうと提案した。
美は、百のために用した部をれることに抵抗を覚えた。妹が帰ってきた、む所が変わっていたら迷うのではないかと考えたからだった。
「しいにも百さんの部を作ればいい」
啓介は穏やかに答えた。美は数週悩んだ末、引っ越しに同した。
荷造りの最、美は久しぶりに百の部へ入った。のカーテンをし、引きしの奥から古い帳や写真を取りした。
写真ので、百は護師のを着て笑っていた。美はしばらくその顔を見つめた、机のに座り込んだ。
その夜、啓介が作業部で荷物を理している、美は母へ話をかけた。声を抑え、夫に聞こえないよう寝の扉を閉めていた。
「お母さん、私、話していないことがあるの」
「百のこと?」
文の問いに、美はすぐ答えなかった。7、胸の底へ押し込めてきた記憶が、喉元までがっていた。
結婚式当の午、美は百から話を受けていた。婚旅へ発する準備の最、公衆話からかかってきたい話だった。