"消えた水色の妹" 第2話
その約10分、百は披宴会をた。廊の奥からい声が聞こえ、何気なくそちらへ目を向けると、非常のくで啓介が見らぬ女性の首をつかんでいた。
女性は30代半に見え、らかに腕を振りほどこうとしていた。啓介は披宴で見せていた穏やかな表を完全に失い、何かを押し殺すようない声で女性に迫っていた。
「もう連絡しないって約束したでしょう」
「今ここへ来いと言ったのはあなたよ。結婚するなら、どうして私を呼んだの」
「声を抑えろ」
百は柱のでち尽くした。やがて女性がこちらを見て、百と目がった。その直、啓介もゆっくりと振り返った。
3のに、言葉のない数秒が流れた。
百はそのをれ、震えるで携帯話をいた。午112分、子宛てのメッセージを打ち始めた。
〈子ちゃん、私、今ちょっと怖いの。今見たものがあるんだけど、お姉ちゃんには言えない。また話するね〉
しかし、百は送信ボタンを押さなかった。披宴会から姉の笑い声が聞こえたからだった。
午118分、廊の防犯カメラに百の姿が映った。のワンピースを着た百は、度ち止まってろを振り返り、それから非常へ向かって歩いていった。
それが、百の確認された最の姿だった。
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披宴が終わった、文は娘の姿が見えないことに気づいた。最初は化粧か、招待客の見送りへったのだとっていた。式の職員にも尋ねたが、誰も百のき先をらなかった。
「病院から呼びされたんじゃないかしら」
婚旅へ発する支度に追われていた美は、く考えずにそう答えた。百は働き始めたばかりで、休暇にも仕事を気にしていたため、その説は自然ではなかった。
文も、娘が先に帰ったのだとい込んだ。自宅の青果へ戻れば、百から話が来ているかもしれない。そう考えて群馬へ帰ったが、留守番話には何も残されていなかった。
異変に最初に気づいたのは、学病院の子だった。522、百は勤刻になっても病棟に姿を見せず、携帯話もつながらなかった。連絡なく仕事を休んだことなど度もなかったため、子はすぐに護師へ相談した。
病院側は、百が使っていた職員寮の部を確認した。玄関には鍵がかかり、内には、洗面用具、預通帳、予備の制が残されていた。蔵庫には封したばかりの牛乳があり、机のには翌週の勤務予定がかれた帳が置かれていた。
旅へた形跡も、活を捨てようとした形跡もなかった。
524の夕方、護師から文へ連絡が入った。
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「百さんは、そちらへ帰っていませんか」
文は話を持ったままけなくなった。式で姿が見えなくなってから5、娘は仕事へ戻っていると信じていたのである。
その夜、婚旅から帰ったばかりの美夫婦にも連絡した。美はすぐに百の携帯話へかけたが、聞こえてきたのは源が入っていないことを伝える械音だけだった。
啓介は落ち着いた声で、翌朝番に警察へこうと言った。美が取り乱すと、その肩を抱き、「まだ何かあったと決まったわけじゃない」と繰り返した。
失踪届が受理されたのは、525だった。百が式から消えて、すでに6が過ぎていた。
警察は文、美、啓介から順番に話を聞いた。交際相の無、職での問題、借、族との、精神な調について尋ねられたが、いずれにも該当する事は見つからなかった。
「百は、自分から何も言わずに消えるような子ではありません」
美は3度同じ言葉を繰り返した。啓介はその隣で妻の背をさすり、刑事の質問へ丁寧に答えていた。
携帯話会社の記録によれば、百の最の発信は519午1047分の子への話だった。その、午23分に源が切れ、最に接続した基局は式からへ約2キロの範囲を示していた。
キャッシュカードとクレジットカードの使用も、結婚式当の午102分で途絶えていた。
式くのコンビニで150円のみ物を買ったのが、最の決済だった。