"残飯の花嫁" 第11話
祖父は目を細めた。
「それなら、急がず準備しなさい」
霞は頷いた。
その顔にはまだ疲れが残っていたが、義実から逃げてきた夜にはなかったが戻り始めていた。
森本の為は、私たちが図に広めなくても、しずつ周囲へられていった。
最初のきっかけは、宴会に参加していた芽だった。霞へ証拠を渡した、自分が笑ってしまったことを族へ告し、度と同じで傍観しないと話した。
画を撮っていたの親戚のにも、ろめたさをじる者が現れた。
悦子は霞が嘘をつき、財産目当てで慰謝料を取ったと説して回った。しかし画には、悦子自の姿と声がはっきり残っている。
孝志の勤務先にも、庭内の問題がられた。
私たちは会社へ連絡していない。だが孝志が調のために休暇をね、同僚へ「嫁の族に陥れられた」と話したことから、逆に詳細を尋ねられたらしい。
会社は私活だけを理由に即座に解雇するようなことはしなかった。
ただ、女性社員へ「夫の言うことを聞くのが妻の役目だ」と発言していたことや、み会で霞への暴力を冗談にしていたことが問題になった。社内調査の結果、孝志は管理職候補からされ、方の営業所へ配置転換された。
悦子はそれを霞のせいにした。
しかし、婚に霞へ直接話をかければ接触禁止の取り決めに反する。
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私のマンションへ押しかけたの相談記録も残っている。
りの向け先を失った悦子は、所や親戚へ満をぶつけた。
その結果、かえって々は距を置くようになった。
隆については、捜査が続いた。
霞は処罰を求めるか最まで迷った。いすたびに体調を崩し、法廷へつ能性を考えるだけで眠れなくなった。
祖父は何度も言った。
「霞が番きやすいを選びなさい。わしらがっているからといって、そのりのために霞が苦しむ必はない」
最終に霞は、被害の申告を取りげなかった。
罰を与えることだけが目ではない。隆が何もなかったことにし、別の誰かへ同じ為を繰り返すのを防ぎたいと考えたからだ。
捜査と司法続きの詳しい内容を、私はすべて聞かなかった。
霞が話したいだけ聞き、話したくないには尋ねない。それが、私にできる最も切な支え方だった。
半が経つ頃、霞は以勤めていた会社の元同僚と連絡を取った。
事をった司から、体調にわせて勤務から復帰しないかと声をかけられた。霞は最初、迷惑をかけるのではないかと断ろうとした。
「迷惑かどうかを決めるのは、お姉ちゃんじゃないよ」
私が言うと、霞は苦笑した。
「桃子、よりくなったね」
「お姉ちゃんの妹だから」
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復職初、私は駅まで霞を送った。
淡いのブラウスに紺のスカートを着た姉は、何度も鞄のを確認していた。表は緊張していたが、結婚の姉にしずつ戻っているように見えた。
「怖くなったら、帰ってきてもいいんだからね」
「うん。でも今はってみる」
霞は自分ので改札を通った。
その背を見送りながら、私は半の夜をいした。片方の靴を壊し、だらけで玄関にっていた姉。
あの、霞が逃げてこなければ、どうなっていたのだろう。
考えると今でも背筋がたくなる。
族だから。嫁だから。両親がいないから。
そんな言葉が、霞を縛る鎖として使われていた。
けれど本当の族は、苦しみに耐えることをするではない。
逃げてきたへ「なぜできなかった」と尋ねるのではなく、「よく帰ってきた」と扉をけるなのだ。
義実から逃げてきて1、霞は再び1暮らしを始めた。
まいは、私のマンションからで2駅の所にあるさな1LDKだった。祖父は以のように部を用すると言ったが、霞は自分の料で払える部を選んだ。
「困ったには助けてもらう。でも、できるところまでは自分でやってみたいの」
祖父はし寂しそうにしながらも、保証の欄へ署名した。
引っ越しの、親戚たちが集まった。
20全員ではない。それでもトラックをす叔父、具を組みてる従兄、台所用品を運ぶ叔母たちで、部は朝から賑やかだった。