"残飯の花嫁" 第10話
霞は祖父母ので暮らしながら、週に1度カウンセリングを受けていた。事はしずつ取れるようになったが、族が箸を置いたでなければ卓をれられない癖が残っていた。
祖母が料理を取り分けようとすると、「私は残ったものでいい」と反射に答えることもあった。
そのたびに祖母は、否定も説教もせず、しい皿へ同じ料理をよそった。
「これは霞の分よ」
その言葉を何度も聞き、霞はようやく自分の皿を最までべられるようになった。
夜にび起きることもあった。
廊の音を聞いて、隆が部へ来るとい込む。そんなには、祖父が扉のから声をかけた。
「霞、じいちゃんだ。ここはだぞ」
勝に部へ入らず、返事があるまで待った。
かつて霞の全を奪ったのは、族を名乗る々だった。だからこそ祖父母は、「守る」という言葉を理由に霞のを奪わないよう気をつけていた。
調当、孝志は憔悴した姿で現れた。
以の自信に満ちた面はなく、子へ座ると何度も霞の方を見た。
「2だけで話せないか」
浦が断った。
「今の連絡は、すべて代理を通してください」
孝志は自分も母親に逆らえない環境で育ったと説した。父親は気性が荒く、母親が庭を支配していたため、霞を守れば自分が責められるとったという。
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「俺も被害者だったんだ」
その言葉を聞き、霞は初めて自分からをいた。
「あなたがどんなで育ったかは、あなたの責任ではないといます」
孝志の顔に期待が浮かんだ。
「でも、その苦しさを私へ押しつけたことは、あなたの責任です」
霞は静かに続けた。
「私が殴られている、あなたは笑っていました。助けを求めても、族に馴染めない私が悪いと言いました。それをお義母さんのせいだけにはできません」
孝志は俯いた。
「やり直すことはできないのか」
「できません」
迷いのない返答だった。
「私はあなたのをて、初めて自分がだったといせました。もう2度と、あの活には戻りません」
婚に伴う条件は、浦が現実な範囲でまとめていた。
霞の結婚の預と所持品を返還すること。治療費と慰謝料を支払うこと。霞本だけでなく、桃子や祖父母へも直接接触しないこと。
違反したは直ちに警察と代理へ連絡する。
刑事の問題については、婚条件と引き換えに無条件で取りげるような約束はしなかった。それぞれ別の問題として扱われた。
画という確な証拠があり、裁判になれば森本側の為が公の記録へ残る。孝志の代理も勝ち目がいことを説したのだろう。
最終に孝志は婚へ同した。
署名する直、孝志は震える声で尋ねた。
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「俺と結婚した半、幸せだったは度もなかったのか」
霞はすぐには答えなかった。
結婚式の、孝志の隣で笑った自分をいしていたのかもしれない。しい暮らしを始めるために選んだ器や、2で内覧したマンションのことも。
「結婚するは、幸せになれるとっていました」
霞は答えた。
「だからこそ、あなたが私を守ってくれなかったことがしかった」
孝志は顔を覆った。
けれど霞は、慰めなかった。
孝志の悔を軽くすることは、もう霞の役目ではなかった。
婚届が正式に受理された、祖父母のではさな事会がかれた。
祝いの宴ではない。
終わった結婚を笑いものにするのではなく、霞が自分のへ戻ったことを静かに確かめるための卓だった。
祖母は霞の好きなちらし寿司を作った。親戚たちも料理を持ち寄ったが、誰も義実の悪でを盛りげようとはしなかった。
事の途、祖父が霞へ尋ねた。
「これから、どうしたい」
以の霞なら、族が望む答えを探しただろう。
だが今の霞は、自分の気持ちを確かめるようにをかけた。
「働きたい。でも、すぐに以と同じようにはできないとう」
「それでいい」
「それから、もう度1で暮らせるようになりたい」
祖父の顔がし寂しそうになった。
「ここにずっといてもいいんだぞ」
「ってる。帰ってこられる所があると分かったから、今度は自分で歩いてみたいの」