"残飯の花嫁" 第9話
しかし浦から正式な婚協議が届くと、孝志は転して婚を拒否した。
〈妻は精神に定になり、勝にをた〉
〈族は霞を本当の娘として指導していただけだ〉
〈暴力はなく、録音は桃子に誘導されたものだ〉
孝志側の代理から届いた回答には、そんな主張が並んでいた。
さらに孝志は、霞が結婚の活費を持ち逃げしたとまで言いした。実際には、霞は財布さえ持たずに逃げ、結婚の座も孝志に管理されていた。
「やはり、とぼけてきましたね」
浦は落ち着いていた。
診断と傷の写真、脅迫なメッセージ、悦子との通話記録がある。だが、さらに直接な証拠があれば、交渉を利にめられる。
いがけない連絡が届いたのは、その翌だった。
相は森本の親戚で、宴会に参加していたという20歳の女性、芽だった。
〈霞さんに謝りたいことがあります〉
いメッセージには、画ファイルが添付されていた。
再すると、森本の座敷が映った。
酔った親戚たちの笑い声。座敷の隅でち尽くす霞。そして流しから持ってきたものを、霞へ差しす悦子の姿。
霞が拒むと、悦子が髪を掴んだ。
孝志は止めなかった。
霞が吐きした直、孝志が頬を殴る様子まで映っていた。
私は数秒で再を止めた。
隣にいた霞は、呼吸ができなくなったように胸を押さえていた。
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「もう見なくていい」
浦がすぐに端末を伏せた。
「証拠の確認はこちらでいます」
芽は、宴会の異様な雰囲気に流されて最初は笑ってしまったと告していた。だが霞が殴られた瞬に怖くなり、携帯話を止めたふりをして撮を続けたという。
霞が逃げたも、悦子たちは酒をみ続けた。
孝志は「どうせく所がないから戻る」と笑っていた。その発言も記録されていた。
芽は罪悪を抱えながら、画を消せずにいた。川の々が森本へ来たことをり、ようやく霞へ渡す決をしたのだ。
〈助けられなくて、本当にごめんなさい〉
霞は何度も文章を読み返した。
「このも、向こうのでがかったのかもしれない」
姉は、自分を見捨てた側の事まで考えようとした。
「お姉ちゃんは、今すぐ許さなくていいんだよ」
私が言うと、霞は静かに頷いた。
「うん。でも画を送るのも、きっと怖かったとう」
霞は芽へ、証拠を送ってくれたことへの謝だけを返信した。許すとも、責めないともかなかった。
それでよかった。
傷つけられたが、相の罪悪を軽くする責任まで背負う必はない。
画を提示すると、孝志側の態度はらかに変わった。
それまで「霞の作り話だ」と主張していた代理は、事実関係を改めて確認したいと回答した。
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数には、孝志本から霞へ謝罪文が届いた。
しかし内容は、謝罪と呼べるものではなかった。
〈母のやり方がし厳しかったことは認める〉
〈自分も仕事の疲れでがてしまった〉
〈霞がもっとく相談してくれれば、ここまできくならなかった〉
最まで、自分の責任をさくしようとしていた。
霞はを読み終えると、封筒へ戻した。
「返事はしません」
「それでいいといます」
浦も同した。
「謝罪は、受け取る側へ返事を制するものではありません」
方、義父の隆については、警察の事聴取が始まった。
霞は女性警察官と支援員の同席を条件に、しずつ当のことを話した。何度も途で言葉に詰まり、体調を崩すこともあった。
それでも、自分が悪かったのではないと確認するために、霞は証言を続けた。
隆は当初、偶然脱所へ入っただけだと否定した。
だがの構造や、霞が孝志へ送っていた相談メッセージ、芽の証言が集まるにつれ、説はい違っていった。
悦子も無関係ではいられなかった。
夫の為をりながら霞を責め、逃げられない状態へ置いた。さらに事を制限し、継続な暴力を加えた疑いが調べられた。
森本が軽く考えていた「嫁のしつけ」は、庭内だけで許される習慣ではない。
1つずつ名のある加害為だった。
暴、、脅迫、経済な支配。
そして、の尊厳を奪う虐待だった。
婚調が始まったのは、霞が逃げてから2かだった。