"残飯の花嫁" 第7話
「何なのよ、あなたたち。勢で押しかけて、常識がないにもほどがあるでしょう」
祖父は座布団へ腰をろした。
「勢でを囲むのがお好きだと聞きましてね」
悦子の顔がわずかに張った。
「何のことかしら」
「先、親戚ので霞に残飯をべさせたそうですな」
「霞が勝なことを言っているだけよ」
「では、確認しましょう」
浦が録音をテーブルへ置いた。
悦子本が、残飯をべさせたことも、孝志が霞を殴ったことも「しつけ」だと認める声が流れ始める。
再がむにつれ、孝志の顔から血の気が引いた。隆は落ち着きを失い、何度も悦子を睨んだ。
録音が終わると、悦子は私を指差した。
「の会話を勝に録音するなんて最ね!」
「最なのは録音でしょうか」
浦が静に尋ねた。
「それとも、事を与えず、暴力を振るい、親族のでの尊厳を傷つけた為でしょうか」
「嫁をしつけただけよ。赤のだった女を、森本のにしてあげたの」
「霞は物ではありません」
祖父の声がくなった。
「森本の姓を名乗ったからといって、としての権利を差ししたわけではない」
悦子はで笑った。
「親代わりのつもりかもしれないけれど、もう霞は森本の嫁よ。そっちにをす権利はないわ」
「親代わりではありません」
祖父は霞へ目を向けた。
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「わしは、両親を失ったこの子たちを育てた族です。ですが、たとえ族でなくても、暴力を受けているを助ける権利は誰にでもある」
孝志がを乗りした。
「婚なんてげさですよ。俺は霞をしています。夫婦のには、の喧嘩だってあるでしょう」
座敷のろで聞いていた奈々が、できずに声をげた。
「しているを殴るの?」
孝志が睨みつける。
「子どもは黙ってろ」
「都が悪くなると、女や子どもを黙らせるんだね」
「女のくせに気なを利くな!」
孝志はわず鳴った。
その瞬、座敷に沈黙が落ちた。
取り繕っていた仮面が剝がれたことに、孝志本も気づいたらしい。慌ててを閉じたが、遅かった。
「霞は俺の妻だ。どう扱おうと夫婦の問題だろう」
孝志はき直った。
「こいつは俺の言うことを聞いていればいいんだ。両親もいないくせに、誰のおかげで結婚できたとってる」
祖父の弟がちがりかけた。
しかし祖父が片をげて制した。
ここでに任せてをせば、相へ反撃の実を与える。祖父はそれを誰より理解していた。
「よく分かりました」
祖父は浦を見た。
「これ以は、弁護士を通じて婚の話をめましょう」
「勝にすれば?」
悦子が笑った。
「困るのは霞の方よ。仕事も辞めて、むもない。孝志がいなければ何もできないんだから」
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孝志も自信を取り戻したように、霞へを伸ばした。
「を張るな。今なら許してやる。帰って母さんに謝れば、また置いてやるから」
霞の体が震えた。
半、そので何度も腕を掴まれた。拒否すれば殴られ、声をげれば両親がいないはをらないと罵られた。
私は姉のへようとした。
けれど霞は、私のをして自分で歩へんだ。
「触らないで」
さな声だった。
孝志が目を細める。
「何だって?」
霞は顔をげた。
「あなたとは婚します。もう、あなたのには戻りません」
それは霞が孝志へ示した、初めての確な拒絶だった。
霞の言葉を聞いた孝志は、しばらくかなかった。
妻は必ず自分のもとへ戻る。両親も頼れる仕事もない霞には、それ以のがないと信じていたのだろう。
「お、誰に吹き込まれた?」
孝志の目が私と祖父のをき来した。
「桃子か? それとも、その弁護士か?」
「誰にも吹き込まれていません」
霞の声はまだ震えていたが、目を逸らさなかった。
「私は、このでされたことを忘れません。あなたが助けてくれなかったことも、緒に笑っていたことも忘れない」
「族に馴染めなかった自分のせいだろ!」
「残飯をべられないことが、馴染めないというなら、私は馴染みたくありません」
親戚たちのから、いざわめきが起こった。
悦子は顔を真っ赤にし、座卓を叩いた。
「こんな恩らずな嫁、こっちから願いげよ! さっさと連れて帰りなさい!」