"残飯の花嫁" 第5話
みんなに迷惑をかける」
私は姉の両肩を掴み、目を見た。
「迷惑じゃない。お姉ちゃんを守るのは、迷惑なんかじゃないよ」
「でも、あのたちは何をするか分からない」
「だから1で抱えないの」
私は祖父へ話をかけた。
祖父にられればしませると、霞は最まで迷っていた。しかし、これ以隠しておく方が、事態を危険にすると判断した。
話にた祖父へ、私はく告げた。
「おじいちゃん、霞お姉ちゃんが帰ってきた。でも、ひどいことをされていたの。助けてほしい」
祖父は理由を尋ねなかった。
「分かった。今どこにいる」
「私のマンション」
「そこをくな。1でく」
祖父の声は穏やかだった。
それがかえって、彼のりのさを伝えていた。
祖父母が到着したのは、話から50分だった。
玄関につ霞の姿を見た瞬、祖母は元を押さえた。何か言おうとしたが声にならず、痩せた孫娘を抱きしめた。
「霞、どうしてこんなになるまで……」
祖母のが背へ触れると、霞は痛みに顔を歪めた。
その反応を見た祖父の表が変わった。
「で聞こう」
祖父は声を荒らげなかった。霞を急かすことも、なぜく言わなかったのかと責めることもしなかった。
リビングで、私は病院の診断と撮した写真を見せた。それから、悦子との通話記録を再した。
録音が流れる、祖母は霞のを両で包んでいた。
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祖父は背筋を伸ばして座り、悦子が笑いながら残飯の話をするのを黙って聞いた。義父の為を霞のせいにし、両親がいないことを侮辱する声が流れても、を挟まなかった。
だが、膝のに置いた拳はく握られていた。
録音が終わる。
部にはしばらく、計の秒針だけが響いた。
「おじいちゃん、ごめんなさい」
霞が俯いた。
「結婚する、絶対に幸せになるって言ったのに」
祖父はちがり、霞のへ歩み寄った。
そして、きなで孫娘のを優しく撫でた。
両親がくなった夜も、祖父は同じように私たちのを撫でてくれた。泣くなとは言わず、何があっても2を守ると約束してくれた。
「霞、今までよくきて帰ってきた」
その言で、霞の顔が崩れた。
「怖かった……」
「うん」
「逃げたら、みんなに迷惑をかけるとって」
「迷惑ではない。帰ってくる所を違えなかった。それで分だ」
霞は祖父の胸へ顔を埋め、子どものように声をげて泣いた。祖母も背をさすりながら涙を流した。
私はその姿を見て、初めてしだけ肩の力を抜くことができた。
「このは、わしに任せなさい」
祖父はそう言ったものの、すぐに義実へ押しかけることはしなかった。
まず、会社の顧問を務めてきた浦弁護士へ連絡した。診断、写真、着信履歴、脅迫なメッセージ、録音を確認してもらい、今の対応を相談した。
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浦は録音を聞き終えると、刻な表で鏡をした。
「庭内のもめ事で済ませられる内容ではありません。暴だけでなく、義父の為についても慎に事を聞く必があります」
霞は警察へ被害を訴えることを恐れていた。
裁判になれば何度もいし、説しなければならない。田舎の町で噂になり、らないから興本位の線を向けられるかもしれない。
浦は霞のを尊した。
「今すぐすべてを決める必はありません。まず接触を止め、全を確保しましょう。婚協議と接禁止の取り決めをめ、そので刑事告訴をどうするか考えればいい」
祖父も頷いた。
「霞が望まないことを、仕返しのために無理にさせるつもりはない」
その夜、祖父の実には親族が集まった。
祖父の弟妹、その子どもたち、叔父が経営する会社の幹部でもある従兄たち。普段なら正や法事に集まる顔ぶれだった。
数は20を超えた。
ただし祖父は、りに任せて全員で殴り込みをかけようとしたわけではない。
「霞を連れ戻しに来る能性がある」
祖父は座敷の央で説した。
「しばらく実を1にしないよう、交代で付き添ってほしい。桃子のマンションにも誰かついていてくれ」
親戚たちはすぐに役割を決めた。
叔父たちは祖父母のの見回りを引き受け、従兄はマンションの防犯カメラを確認した。