"トウモロコシ畑に消えた母" 第9話
事件から15以を経て、芳子の名誉はようやく回復された。
県警は、事件当初に被害者の私活へ疑いの目を向ける報が広まったことについて、遺族へ謝罪した。の広報も特集を組み、芳子が農業へ捧げたと、若い農へを残そうとしていた計画を伝えた。
健が相続に担保へ入れたは、裁判と債務理を経て売却される予定だった。しかし、の農業法と芳子の親族が協力し、部を買い戻した。
最初の、そこには再びスイートコーンが植えられた。
収穫期の朝、たちは畑の入りへさなの札をてた。
「芳子の畑」
げさな慰霊碑ではなかった。芳子なら、派なを置くがあるなら農具を買えと言うだろうと、古くからの友たちが話しって決めた。
松田も、最初の収穫に畑を訪れた。定の彼は背がし丸くなっていたが、午4に起き、芳子がしていたように朝のを歩いた。
から渡されたトウモロコシを1本受け取り、くの共同墓へ向かった。
芳子の墓の隣には、娘の紀子が眠っていた。
松田は墓へトウモロコシを供え、ゆっくりをげた。
「随分、遅くなりました」
15の初捜査では、健のアリバイを崩せなかった。現のプラスチック片も、ありふれた農具の部品として優先順位をげた。
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松田自も、何度も自分を責めた。
もっとく代わりに気づいていれば、紀子が母親のに対する罪悪を植えつけられるに真実を伝えられたかもしれない。
けれど、過を変えることはできない。
できるのは、次の事件で同じ見落としをしないことと、被害者がどんなをきたなのかを記録へ残すことだけだった。
「あなたは、あの朝の姿だけで記憶されるじゃありません」
松田は墓を見つめた。
「畑を守り、娘を育て、へ分けるための野菜を作っていたです」
が吹き、墓の々が静かに揺れた。
そのに収穫されたトウモロコシの部は、の学へ届けられた。子どもたちは事件の詳細をらず、甘いと笑いながらべた。
芳子が守ろうとしたは、健の借を埋めるための数字ではなく、再び誰かの卓へつながる畑になった。
15、で語られてきたのは、トウモロコシ畑で異様な姿になって見つかった女性の事件だった。
これから語られるのは、それだけではない。
朝の残るに働き、娘の自由を守ろうとし、最まで自分のをだけで測らなかった佐藤芳子という1の女性のだった。
松田刑事がしい未解決事件のファイルをいてから、さらに数が過ぎました。野のあのトウモロコシ畑では、今も毎になると青々とした葉がに揺れ、たちは最初に収穫した本を芳子さんの墓へ供えています。
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かつて誰もづこうとしなかった所には、朝くから農作業をする々の声が戻り、事件をらない子供たちの笑い声まで聞こえるようになりました。い、恐怖としみの象徴だった畑は、しずつ本来の穏やかな姿を取り戻していったのです。
しかし、たちは事件を忘れたわけではありません。芳子さんがどれほど族を切にし、女つで娘を育てながら、毎あの畑で汗を流していたのか。そのまで犯の残酷ないによって汚されてはならないと考え、では毎収穫の期になると、芳子さんと娘のために静かにをわせるようになりました。誰かが声に正義を語ることはありませんでしたが、そのさな祈りは途切れることなく受け継がれていきました。
松田刑事も、野を訪れる会があるたびに畑のそばへち寄りました。あるの、背丈を超えるほど成したトウモロコシのを歩いていると、葉の隙から柔らかな朝が差し込みました。松田刑事はを止め、15の暗い夜けと、事件を追い続けたい々をい返しました。もっとく真実へたどり着けなかった悔しさは、犯が裁かれたもの奥から消えることはありませんでした。
それでも、あの諦めていたら、芳子さんは今も根拠のない噂に傷つけられたままだったかもしれません。